鹿島DF岩政大樹(28)が、抜群の得点力をW杯メンバー入りへの追い風とする。5日のC大阪戦(長居)は日本代表岡田武史監督が視察予定。鹿島はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦浦項戦を12日に控えており、10日のW杯メンバー発表前の試合はC大阪戦が最後になる。岩政は「ラストチャンス」に守備だけでなく、ゴールで指揮官に代表入りをアピールする。

 決意に満ちた表情だった。W杯メンバー発表前、最後の公式戦となるC大阪戦を翌日に控えた4日の練習後、岡田監督視察の情報を既に耳にしていた岩政は「(ゴールを)取りたいと思っています。分かりやすいアピールになると思うので」と言い切った。

 センターバック(CB)である以上、守備が第一。代表入りよりも、まずはチームの勝利に集中することは当然だ。それでも、あふれる思いを止められない。「明日(C大阪戦)で(代表当落の)すべてが決まるわけではないけど、当落線上にいる選手にとっては、岡田監督の視察はいい刺激になると思う」。

 数的不利な状況で投入された2月の東アジア選手権韓国戦を最後に代表からは遠ざかっており、厳しい現状は理解している。だが、現在の日本は中沢、闘莉王が不動のCBとして君臨している半面、控えは今野、阿部と本職ではない選手に頼らざるをえない状況で、チャンスはある。「(1日のG大阪戦で)ゴールも取れたし、韓国戦の時よりは流れは好転してきていると思う」と前向きだ。

 G大阪戦の今季公式戦初ゴールはCKから。代表経験こそ少ないものの、187センチの高さをいかしたセットプレーからのゴールは鹿島の強力な武器になっている。J1通算得点数も187試合24得点で、中沢(同322試合24得点)と同じ。苦戦必至のW杯では、日本にとってセットプレーが貴重な得点機となるだけに、岩政の存在が「日本の武器」になる可能性もある。

 4月28日のACL全北現代戦、1日のG大阪戦、5日のC大阪戦と過密日程の中で「C大阪戦が1つの勝負どころ」とチームの勝利のために力を込めつつ、「最後まで故障なくコンスタントなプレーができればいい」と神妙に話した。御前試合で、自力でW杯を引き寄せてみせる。【菅家大輔】