大宮が27日、地元商店街とタッグを組んで東日本大震災被災者支援に協力することになった。盆栽の町でもあるさいたま市の新名物ご当地サイダー「盆栽だー!!」(335ミリリットル、200円)を、5月7日の新潟戦(NACK)で発売する。1923年(大12)の関東大震災被害時に都内から大宮に受け入れてもらい「大宮盆栽村」が誕生した歴史から、さいたま市や商工会議所は、同商品の収益を義援金として被災地援助に回すことを決めている。プロスポーツが支援にかかわる上で、新しい試みになりそうだ。

 大宮が大震災被災者支援へ、新機軸を打ち出した。収益を義援金として寄付する新ご当地サイダー『盆栽だー!!』を、5月7日にNACKスタジアム大宮(新潟戦)で緊急販売する。「盆栽だー!!」は1日から一般発売される。売れれば売れるほど支援金額はアップする。大宮のクラブ担当者は「大宮としても可能なことはいろいろと取り組んでいきたい。地域の方と一緒に長期的に活動できるのはうれしいですし、全国区の商品になってほしい」と話した。

 選手が前面に出て募金活動をしたり、救援物資を集めたり、もしくは直接届けたりと、Jリーグでも選手、フロントが懸命な活動を続けてきた。

 今回、大宮の取り組みは今までの活動と比べると異色と言える。地元産品を本拠地で販売することで、広く商品をアピールし、ひいては、より多くのサッカーファン、国民に支援の輪を広げることが可能になる。

 「盆栽だー!!」は、5月1日から埼玉スタジアムでの「埼玉B級グルメグランプリ」にも初出品される。盆栽の松のチクチク感をイメージした強めの炭酸は特色もあり、またユニークなネーミングで注目される。

 スタジアム北側に位置する盆栽村が「盆栽だー!!」の生まれ故郷なのも何かの縁だろう。大宮公園駅や土呂駅周辺の5つの商店街からなる合同事業委員会が約1年半かけて開発。さくら通り商店街の野口平八会長(72)は「まだどれくらい売れるかは想像つかないですが、9月くらいまでに売り上げを伸ばして、少しでも被災した方の助けになれればいい。全力でPRをしていきます」と言った。

 関東大震災で大宮とつながりを持った盆栽が、今度は「盆栽だー!!」を武器に、震災で受けた恩を東北に返そうとしている。息の長い支援、そして裾野が広がるイメージ。この「盆栽だー!!」売り出し計画は、多くの可能性を秘めている。【鎌田直秀】

 ◆大宮盆栽村

 誕生は1925年(大14)。東京の団子坂(現東京都文京区千駄木)周辺の植木職人、盆栽師が、1923年の関東大震災被害により、盆栽の栽培に適した広い土地(関東ローム層の赤土)、新鮮な水と空気を求めて大宮の地に集団移住。現在は広さ約10万坪で、日本屈指の盆栽郷として数十万の盆栽を手がけている。毎年5月3日から5日まで「大盆栽まつり」が行われ、国内だけではなく海外からも多くの愛好家が訪れる。