勝負の秋へ、貴重なピースが加わった。J2山形MFキム・ボムヨン(23)が3日、東北学院大との練習試合(40分×2)にフル出場。1本目は左MFで2アシスト、2本目は右サイドバックとボランチに入って万能性をアピールした。FW中島、MF秋葉に続き、DF小林とMF比嘉も負傷で離脱。累積警告での出場停止も増えてきた中で、複数ポジションをこなすボムヨンの台頭は大きい。

 以前とは視野の広さが違う。1本目の13分、左からのクロスでFW大久保の先制点をアシスト。26分には中央でMFペーニャのパスを頭で落とし、再び大久保のゴールをお膳立てした。「勉強して、ピッチ内で使う日本語はほとんど習得できた」と言うように周囲との呼吸も合い、2本目も積極的にボールに絡んだ。

 開幕戦で途中出場するなど期待されたが、出場はわずか6試合で76分。原因は精神面にあった。個人プレーが目立ち、感情を表に出すことも多かったが「この数カ月は自分よりチームのためにという意識に変わった」と話す。心の成長がプレーに表れ、前節で14試合ぶりのベンチ入り。「日本のサッカーに適応できてきた実感がある。時間がかかったとは思ってない」。複数のJクラブから声がかかった能力を開花させる日は近い。【鹿野雄太】