ベガルタが誇る超攻撃的サイドバックが帰ってくる。仙台MF菅井直樹(28)が11日、14日のホーム大分戦での復帰に意欲を示した。両足かかとを痛めて離脱していたが、前日10日から全体練習に完全合流。7月のアウェー大分戦で決勝ゴールも奪った背番号25が、残り10試合となったリーグ戦で逆襲の突破口を開く。

 フォーメーション練習中、手倉森監督から声がかかった。「キン(菅井)、蹴れるか?」。右サイドの位置に入った菅井は、何度も右足でクロスを供給。どこかをかばう様子もない。対人練習、ミニゲームも含めたフルメニューをこなし「昨日、今日と確認した感じでは、ある程度回復している実感はある。違和感は残るし、ベストコンディションじゃないけど、試合ができない状態じゃない」と控えめに“ゴーサイン”を出した。

 8月3日の川崎F戦後、慢性的に痛みを抱えていた両足のかかとが悲鳴を上げた。これまでも休養をはさみながら痛みと付き合ってきたものの、今回は深刻だった。「すぐやれるだろうという感覚でいたら、予想外にずるずると。こんなにひどいとは思わなかった」。朝起きると、激痛でかかとを地面につけて歩けないような日が続いた。時間をかけて治療する方法を選択し、ようやく光明が見えてきた。

 運動量が求められるサイドバックだけに「攻撃だけやればいいっていうものじゃない。それじゃあ周りも納得しない」と出場のハードルが低くないことは分かっている。さらに、患部の状態もここ数日は良好だが、安心はできないという。それでも「準備はしてますよ」と繰り返すあたりに、強い決意がにじむ。

 リーグ戦も残り10試合。前節で16位湘南に敗れ、最下位大分に取りこぼしは許されない。吉兆はある。手倉森監督が就任した08年以降、9月のホームゲームは9勝1敗。特に09年以降は7連勝中と抜群の相性を誇る。得意の秋に菅井復帰となれば、逆襲の足掛かりとなる勝ち点3がグッと近づく。【亀山泰宏】