両翼スタンバイOK!

 右足首痛で離脱していたJ2札幌DF上原慎也(27)が22日、宮崎県総合運動公園陸上競技場での練習試合の仙台戦で今季実戦初出場した。2本目に右サイドバックでスタートし、DF松本が負傷退場すると、左サイドでもプレー。45分間出場し、積極的な攻撃参加と、堅実な守備でアピールした。昨季チーム最多40試合出場のキーマンが、開幕8日前に、ようやく戦列に戻ってきた。

 上原慎の復帰で、厳しいDF事情が一変した。この日は2本目に右サイドバックで出場し、同16分にサイドをドリブル突破。仙台の守備網をこじ開けると、同23分には右クロスでチャンスもつくった。得点にはつながらなかったが、これまで影を潜めていたサイド攻撃に厚みが増した。沖縄合宿中の1月23日の練習で負傷離脱したため、これが初実戦。出遅れたが、ぎりぎりで開幕を視界にとらえ「まず復帰できたのが一番。45分は問題ない。あとは試合勘をどれだけ戻せるか」と前向きに話した。

 2本目途中に松本が左太ももの打撲で負傷すると、今度は左サイドバックに入り守備で貢献。両サイドでの奮闘に財前監督は「1本目もまずまずだったが、上原慎と宮沢が入った2本目は、より落ち着いた」と主力復帰効果を口にした。

 Jクラブ相手の開幕前ラストマッチも、右太もも前を負傷しているパウロンが欠場し、開幕戦出場は厳しい状況だ。この日は右サイドバックが本職の小山内がセンターバックを務め、さらに、左サイドのスペシャリスト松本も負傷した。開幕は微妙なだけに、両翼で計算できる上原慎の復帰は大きな救いになる。

 昨季40試合の活躍がベースになり、プレーに余裕も出てきた。キープ力の高いMF砂川の後ろに入った右サイドでは、積極的に攻め上がりクロスを入れ、逆に速い突破力が武器のFW榊の後ろに入った左では、自陣の深い位置をキープ。前線にパスを出すなど、気の利いたプレーでアピールした。「仕掛けるだけでなく後ろでゲームをつくる役目もできるように」。今季はDF登録に変え、本腰を入れて新天地サイドバックでの初の開幕先発を狙っている。

 開幕戦は4年連続ベンチ入りも、常にFWの控えで、先発はない。DFとしての1年目の今季、ケガも治り、状態も連係もいい。26日の福岡大戦で最終チェックし、3月2日に照準を定める。【永野高輔】