スペインがイランの堅守をなんとか打ち破り、今大会初勝利を挙げた。

 前半開始から事前予想どおりにスペインがボールを支配する展開が続く。初戦でモロッコを1-0で下してW杯20年ぶりの勝利を挙げて勢いづくイランは、時には6バック気味の陣形を見せた。前半19分にはゴール前で細かくダイエクトパスをつないで最後はMFシルバが左足でシュートを放つが、DFがブロックした。スペースを埋めることで「ティキタカ」と呼ばれるパスの連鎖を寸断する戦術に苦しみ、前半0-0で折り返した。

 後半8分にはイランに好機が訪れた。ロングスローが相手にあたってこぼれたところにFWアンサリファルドが素早く反応すると、右足で放った一発は惜しくもゴール左に外れた。

 スペインが徹底した対策に風穴をあけたのは初戦のポルトガル戦で2得点しているFWディエゴコスタだった。中央にドリブルで切れ込んだMFイニエスタからゴールを背にして縦のパスを受けると、流れるように時計回りに体を反転。イランDF2人に囲まれる形になったが、DFレザイアンに当たったボールが足に跳ね返る形で、ゴール左隅へと運ばれていった。

 1点を失ったイランは極端な守備陣形を辞め、反撃機会をうかがった。後半17分にはFKでDFレザイアンが蹴りこんだボールに、FWアズムンが頭で触り、最後はMFエザトラヒが思い切りゴールに蹴りこんで得点したかに見えた。だが、イレブンが歓喜する中、この場面がVAR判定。結果、エザトラヒのプレーにオフサイドがあったとの判定が下され、得点は認められなかった。

 試合はこのまま1-0で終了。大会直前の13日に、レアル・マドリードの監督就任が発表されたロペテギ前監督を解任するドタバタ劇があったスペインが、イエロ新監督に初白星をささげた。これで勝ち点は4。対するイランは1勝1敗となり、1次リーグ突破をポルトガル戦にかけることになった。