国際サッカー連盟(FIFA)は29日、スイスのチューリヒで総会を開き、現職のブラッター会長(79=スイス)とアリ王子(39=ヨルダン)の一騎打ちで争われる会長選が行われる。

 27日に現職副会長2人が逮捕されるなどFIFAが前代未聞の汚職事件に揺れる中、1998年に就任したブラッター会長の5選が有力視されている。

 28日の総会開会式で、ブラッター会長は「FIFAにとって、かつてない難しい時だ。サッカーとFIFAの名声をこれ以上泥にまみれさせるわけにはいかない。ここで止めなくてはならない」と、終始険しい表情で再建への意欲を示した。組織のトップとして管理責任を問う声には「全ての人を監視することはできない」と反論し、自身の責任問題には一切触れなかった。

 会長選は加盟209協会の代表者の投票で決まる。欧州サッカー連盟(UEFA)は、プラティニ会長がブラッター会長に辞任を要求するなど対立姿勢を鮮明にし、アリ王子を支持している。だがアジアやアフリカ、南米などがブラッター会長を支える方針を固めており、同会長が優位な情勢には変わりがない。

 ブラッター会長に対しては、キャメロン英首相が辞任を求めるなど、世界で強い批判が起きている。FIFAが独自の力学で同会長の続投を決めれば、組織の閉鎖性をあらためて示すことになる。

 FIFA会長選が複数の立候補者による投票で争われるのは、ブラッター会長がハヤトウ氏(カメルーン)を破った2002年以来。07年はブラッター会長以外に立候補者がおらず、前回の11年は対立候補だったハマム氏(カタール)が買収疑惑で立候補を辞退し、ブラッター会長の4選が信任投票で決まった。