◆清武弘嗣(27=セビリア)

◆乾貴士(28=エイバル)

◆鈴木大輔(26=2部タラゴナ)

 スペイン語で1部を意味するプリメーラには、セビリアMF清武と、エイバルMF乾、2部を意味するセグンダにはDF鈴木がタラゴナでプレーをしている。

 ここまでの戦いを振り返ると、チームとしての成績で見れば、合格点を与えられるのはプリメーラの2チームだ。セビリアはAマドリードを退け、Rマドリード、バルセロナに続くリーグ戦3位をキープし、欧州チャンピオンズリーグ(CL)でも決勝トーナメント進出を決めた。また、エイバルも8位と昨年同様に欧州出場権(4位までが欧州CL、5、6位は欧州リーグ)を狙える順位と、後半戦もポジティブな目標を持ちながら戦うことが出来る。

 だが、昨季プリメーラ昇格のプレーオフを戦い、今季も上位争いを期待されたタラゴナは良い試合をしながらも勝ちきれない試合が続き、3部降格圏の最下位22位と苦しい状況だ。とはいえ、降格圏脱出の18位までは勝ち点差6と1つの連勝で大きく順位を変える可能性を秘めており、決して悲観する必要はないだろう。

●チームで自分の居場所を見つけた乾と鈴木

 日本人選手個々のパフォーマンスに関しては昨シーズンからスペインでプレーをしている乾、鈴木がしっかりとチーム内で自分の居所を見つけているが、今季がスペイン1年目の清武が新天地という環境、スペインのサッカー文化への適応に苦しみ、もがき続けている。

 まずエイバルの乾だが、開幕直後こそチーム戦術と自身のプレースタイルの適応に悩んでいたようなプレーが見えたが、9節エスパニョール戦以降は良い意味でわがままなプレーを見せるようになった。昨シーズンは、試合出場をしていても消えている時間が多かったが、今は攻守にわたって11分の1の役割を果たし、90分間、多くの時間帯でプレーに関与している。年明けの17年の願いは得点。試合出場を果たして以降、多くの試合で決定機を迎えたが、相手GKのファインセーブなどもあったが、ネットを揺らすことが出来なかった。監督そしてチームのさらなる信頼を得るためにも新年、乾には得点という結果が必要になってくる。

 タラゴナでプレーする鈴木は今年2月にチームに加入以降、しっかりとCBのポジションを確保している。スマートなプレーとは決していえないが、外国人相手にも物おじすることなく、味方選手を鼓舞しDFラインをコントロールし、放り込まれたボールをはね返し続けた。失点は鈴木1人の問題ではないが、守備の選手としてチームが下位に低迷する責任を追及されても仕方がない。新年の目標は集中力を切らさずに無失点に抑える試合を増やすこと。失点をしなければ少なくとも勝ち点1を獲得出来るし、攻撃陣も守備陣の頑張りにしっかりと答えてくれる日がくるはずだ。

●17年は戦いの舞台をドイツへ戻すのか?

 清武は誰よりもフラストレーションをためている選手だ。とりわけ悪いパフォーマンスをしていた訳ではないが、清武より少し創造力のあるプレー、自己主張の強いプレーができる元フランス代表MFナスリが加入してから日本代表MFは出場機会を失ってしまった。ナスリにミスや監督批判など明確な理由があれば出場機会減少にもうなずくが、特別そういうわけでもない。理由の1つとして上げるとしたら日本代表でプレーすることでチームを不在にしていたことだ。

 セビリアはサンパオリが今季から監督に就任し、ゼロからチームを作り直したチームであり、どの選手もアルゼンチン人監督のアイデアを浸透させる必要があった。代表ウイークはしっかりと1週間練習に取り組めるクラブ監督にとって、チームレベルを上げる大事な期間だ。だが、その大事な期間にナスリ、ビトロ、バスケスらレギュラー陣が代表に呼ばれていないのに対して、チームを離れていた清武にとっては、監督へのアピールする場が他の選手と比べて減る日本代表が、ビハインドになったことは否めない。

 出場時間の少なさから、FWを補強したいドイツ方面からラブコールが届いているとも言われており、今冬の移籍市場での動向が注目されており、17年はスペインから戦いの舞台をドイツへと戻すかもしれない。【山本孔一通信員】