【バルセロナ(スペイン)3日=山本孔一通信員】MF中村俊輔(29)擁するセルティックが、決戦前日のチーム練習を急きょキャンセルした。今日4日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)バルセロナ戦を控えて前日2部練習を予定していたが、午前練習をキャンセルして午後の公式練習だけにした。2日に続く休養で戦術よりコンディションを最優先させた。ホテルでもメディアとの接触を完全シャットアウトして情報漏えいを防いだ。アウェーでの準々決勝逆転進出へ臨戦ムードを高めた。

 大一番前日。カンプノウ・スタジアム脇の練習グラウンドに、セルティックは現れなかった。予定していた午前練習を急きょキャンセル。中村はじめ主力選手は、ホテルで休養に努めた。2日にバルセロナ入りし、選手の疲れを考慮。前日に続き、またもボールに触れることはなかった。「鉄のカーテン」が引かれるホテルでは、メディアとの接触が一切禁じられている。中村は「ここではちょっと…」と言葉を濁した。アウェーの逆転勝利へ、完全に勝負モードに入っていた。

 大敵を前にコンディションづくりが最優先だった。第1戦でバルサのパスワークにほんろうされ、チームは終盤に反撃する力がなかった。中村が言う。「全然ボールに触れていないのに、十何キロも走っていた。自分たちがボールを回すのでなく、回されて走るのは全然体力の減り方が違う」。2試合で争うだけに、まだ前半を2-3で折り返したにすぎない。アウェーの第2戦は、さらに相手のパスワークがさえてくるはず。その準備に、まずは反撃の足を残す意味があった。

 そしてストラカン監督が選手に求めたのは、がけっぷちでの強い精神力だった。ホテルで選手を前に「厳しく苦しい仕事があってこそ、大きなものを勝ち取れるんだ」と訴えたという。昨季はACミランと互角に渡り合い、アウェーの第2戦も延長戦まで戦った。その経験を思い起こさせ、臨戦ムードを高めた。

 3日付英紙は「Tourist

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 Naka(ナカ、今度こそは観光客じゃない)」と報じた。横浜時代の97年にバルサ戦をカンプノウで観戦。その興奮が欧州進出への原点となった。「ホームで彼らを下すことは難しい。それでも我慢強くチャンスが来るのを待たなければならない」。中村が、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出る。