<セリエA:カターニャ3-2ローマ>◇21日◇カターニャ

 カターニャFW森本貴幸(20)が、6カ月レンタルでのセリエB移籍を決意した。21日のローマ戦で2ゴールを挙げ、チームを3-2の勝利に導いた直後に「毎週末試合に出ることが必要。セリエBに行くのはマイナスでない」と話し、武者修行する考えを明かした。

 くすぶっていた森本が、ピッチで大暴れした。ブラジル代表DFフアンにマークされながらも、鋭い動きだしから2ゴールを奪った。1点目はロングパスに抜け出して決め、2点目はゴール前のこぼれ球を力強くたたき込んだ。いずれもストライカーらしい、得点感覚に優れたものだった。

 相手はローマ。欧州CL1次リーグで優勝候補チェルシーを抑え、首位通過した強豪だ。12月の公式戦3連勝と絶好調だったそのローマを20歳の若者が止めた。そして試合後、セリエB行きの決意を明かした。

 森本

 このゴールでどうなるか分からないですが、自分に必要なのは毎週末試合に出ることなので。セリエBに行くというのも自分のキャリアでマイナスポイントではないと思う。

 11月23日のサンプドリア戦以来、4試合ぶりの出場だった。パオルッチ、プラズマーティーとセンターフォワードの1つの席を争う。しかもゼンガ監督は「試合で選手を使い分ける」と公言しており、森本の出場機会は限定される。そこでセリエB行きを視野に入れた。1シーズン42試合とセリエAより4試合多い。出場機会を求め、「武者修行」を決意した。

 今夏、北京五輪に参加した。厳しいセリエAでのプレーが評価され、シーズン終了後の5月に初合流。土壇場で大舞台への切符をつかんだ。だが、世界との差を痛感させられ、欧州でプレーする重要性を再確認した。目指すは10年W杯だ。明確な目標が森本の背中を押し続ける。

 正式なオファーは、まだない。それでも森本は「1月に出て行くとしてもレンタル。(セリエBは)試合もいっぱいある。(6月に)カターニャに戻ってくると思う」と言う。ローマ相手の2得点は、「名刺代わり」には十分だ。森本はセリエB経由で「喜望峰」を目指す。(猪野真美子通信員)

 [2008年12月23日8時42分

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