アムカル移籍が決まったFW巻誠一郎(29)が、破格の待遇で新天地に迎え入れられる。同クラブで欠番だった「背番号9」を着けることが26日までに分かった。「9」はアムカルにおいて、96年から08年までプレーした地元出身ストライカー、元ロシア代表FWパラモノフの代名詞だった。同クラブで通算337試合に出場し、171ものゴールを挙げた伝説の選手への敬意から、引退後は永久欠番の方針が決まっていた。

 だが旧知の前日本代表監督オシム氏も推薦するストライカーの獲得で、クラブの方針は変わった。下部組織のコーチとしてクラブに残っているパラモノフ氏本人も快諾したことから、チュプラコフ会長は巻との正式契約の際、あわせて背番号9を提示した。

 巻は偉大な先人と、地元出身選手を愛するサポーターの気持ちを尊重し、数度にわたり「9」を固辞。だが同会長らの度重なる説得に、ついに背番号9着用を決断した。初の海外生活になることを気遣い、同会長自ら巻の新居を準備するなど、ピッチ外でも手厚く遇される。モスクワ空港の旅券確認時にも「アムカルに来るマキか?」と空港職員から指摘されるなど、すでに現地での知名度もアップ。25日の一時帰国時には「期待に応えるために、まずはゴールですね」と話すなど、巻本人も高まる期待に気持ちを引き締めている。

 [2010年7月27日8時36分

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