<ブンデスリーガ:ハノーバー2-1ドルトムント>◇18日◇ハノーバー

 ドルトムントの日本代表MF香川真司(22)が、リーグ戦では昨年12月11日ブレーメン戦以来となる、今季初ゴールを決めた。アウェーのハノーバー戦にトップ下でフル出場。0-0の後半18分、GKの肩越しに先制のループシュートを決めた。ドルトムントは1-2で逆転負けしたが、今季6戦目での香川の復調ゴールは、王者ドルトムント、そしてW杯アジア3次予選を戦っている日本代表にとっても追い風になる。

 香川がうれしさを爆発させた。後半18分。FWレバンドフスキがゴール正面で相手DFのタックルを受けた。香川はこのこぼれ球を奪うと、DF2人の間を強引にドリブル突破。前に出たGKの動きを冷静に見て、肩越しに右足でループシュートを決めた。そのまま右コーナーまでダッシュ。ひざをつきながら右こぶしで何度もガッツポーズ。試合後は「イメージ通り。前半から点を取れる雰囲気があった。それが得点につながった」と話した。

 開幕から「2年目のジンクス」と言えるようなスランプが続いていた。代表戦、欧州チャンピオンズリーグ(CL)も含めた過密スケジュールに加え、昨季の前半だけで8ゴールを決めた香川に対する各クラブの研究から、思うようなプレーができずにいた。香川がボールを持つたびに相手選手が2人、3人と集まってくる。この日のゴール2分前にも、ペナルティーエリア内でフリーでボールを受けたが、すぐにDF2人に囲まれシュートまでもっていけなかった。

 ドルトムントは前節で、昇格組のヘルタに1-2で敗れた。持ち味のつなぐサッカーは影を潜め、カウンター一辺倒の「弱者の戦術」にしてやられた。香川は試合後、苦悩を明かしていた。「難しい試合だった。感覚的にいけると思っても、試合をするにつれてうまくいかない。自分自身、疲れているということはないんだけど、チームとしてうまくいっていない部分がある」。新加入のMFギュンドガンとの息が合わず、前を向いて、得意なパスの受け方ができていないのも、不調の要因の1つだった。

 だが、この日の9カ月ぶりリーグ戦ゴールで、今後に光が差してきたことは間違いない。クロップ監督も「シンジが2年目で苦労するのは当たり前のこと。我々は彼がスランプを脱出するために、あらゆる手助けをしたい」と話している。今後はギュンドガンを始め、周囲との連係をもう1度確認し、香川の得意な前を向いたプレーができるかどうかにかかってくる。

 チームは結局、終盤に2点を奪われ、逆転負け。昨季王者が、今季6戦で早くも3敗目を喫した。だが「勝てたらもっとうれしかった」という香川の復調は、ドルトムントにとって何よりの朗報。そして10月11日にタジキスタンとのW杯アジア3次予選(長居)を控えるザックジャパンの追い風にもなる。何より「警戒されてるなっていうのは感じるんですけど、そこでやっぱり結果を出さなきゃいけない」と話していた香川本人の自信となった。【鈴木智貴通信員】