マンチェスターUの日本代表FW香川真司(25)に、試練の2万キロ移動が待ち受けていた。17日に羽田空港からチーム合流のため英国へ向かった。米国ツアーを行うチームへの現地合流を交渉したが許されず、英国経由で米国入りする地球半周分の長距離移動を課せられた。昨季のVIP待遇から一転、チーム行動を重んじるルイス・ファンハール新監督(62)のもとで、マンU3年目を迎える。

 過酷な再スタートを前に、香川は少しも動じなかった。ファンハール新体制で迎える3年目に、約束された定位置はない。それでも機上の人となる直前、きっぱりと言った。「すごく新鮮で、ワクワクした気持ちが生まれている。結果をつかむのは自分次第。チャレンジできる。昨季はW杯があって、そういう(W杯への)考えがあったが、今は新たなチャレンジ。そういう気持ちになれて楽しみ」。そんな香川にさっそく試練が待ち受けた。

 再出発をするまでが、長すぎる…。羽田空港をスタートし、ロンドン経由でマンチェスターに入り、チームに合流する。しかし、チームは米国ツアーを行うために、18日にはロサンゼルス入り。そのため香川は日本から直接移動し現地合流を申し入れた。だが、チーム行動を重んじるファンハール監督に特別待遇は許されなかった。

 今季初戦を迎えるロサンゼルスまで、英国経由での超過酷な長距離移動は、直線距離でも1万8000キロ以上。日本から直接入れば半分で済むはずが、地球半周分にも及ぶ空の旅を強いられることになった。リーグ優勝で終えた昨オフ後は、日本を含めたアジアツアーもあって、日本での直接合流を許され移動は“ゼロ”だった。状況が一変する中、それでも新たな挑戦に自信を抱くのは、大きな刺激を受けたからだ。

 W杯決勝で勝ち越し弾を決めたドイツ代表MFゲッツェはドルトムント時代の同僚。「元チームメートがああいう舞台に立つことはすごく刺激をもらう。僕らが世界で勝つためには、欧州で1人1人結果を残すしかない。そういう選手が自分を含めて増えていければいい」。23日からの親善試合にも「僕はいつでも出られる準備をしている」と香川。遠回りでもスタートダッシュでアピールする。【栗田成芳】