【レッジョネレミリア(イタリア)23日(日本時間24日)=波平千種通信員】ACミランのMF本田圭佑(28)が1得点1アシストと活躍し、親善試合の最優秀選手に選ばれた。1試合45分の変則方式で行われた、3チームによるTIM杯に出場。ユベントス戦では練習試合を含めて3戦連続となるゴール、サッスオロ戦ではスルーパスでアシストを記録して2戦2勝の優勝に貢献した。惨敗に終わったW杯ブラジル大会からの復活に向けて力強さを増し、また1つ結果を積み重ねた。

 挫折を経験し、たくましくなる-。まるで本田の生きざまをプレーで示しているような得点だった。3トップの右で先発したユベントス戦の30分。ゴール中央へ駆け上がった本田はDFとの駆け引きで相手を吹っ飛ばした。スペースを生み出すと、左のDFデシリョからのパスを左足で押し込んだ。14日の練習試合、約25メートルのFK弾を決めた17日の親善試合バレンシア戦に続く3戦連発と躍動した。

 見せ場は続く。第2戦のサッスオロ戦。19分にピッチ中央でボールを拾うと、DFの裏に針に糸を通すようなキラーパスを出してFWエルシャーラウィのゴールを演出した。得点もアシストも、走力から生み出した。変則的な大会で2戦合計で82分間、前への推進力と運動量は最後まで落ちなかった。コンディションが上がらなかったW杯から短期間で、見違えたかのように確かな進化を示した。

 元ブラジル代表MFカカが退団し、イタリア代表FWバロテリもリバプール移籍が内定した。昨季の柱2人を欠きながら、本田が中心となってTIM杯を制覇。MVPに文句なしで選出され、31日(日本時間9月1日)のセリエA開幕のラツィオ戦に向けて定位置の獲得は確実になった。

 攻撃陣の補強は進められているが、ガリアーニ副会長は本田の先発について「私はそうだと思う」と明言。さらに「(前日本代表の)ザッケローニ監督は常に彼のことを良く言っていた。彼が以前のような素晴らしい選手に戻ることを信じていた。人生には忍耐が必要なのだ」と喜んだ。インザギ監督も「私は20日前に本田が過小評価されていると言っていた。彼にはトレーニングが欠けていた。(活躍が)このまま続くことを望む」と話した。

 優勝を公言しながらW杯ブラジル大会は1勝もできなかった。巻き返しへ-。28日に発表されるアギーレジャパンの初陣となる9月の親善試合2連戦のメンバー入りは決定的だ。ブラジルを去る日、「目標は変えるつもりはないし、世界一はあきらめられない。もう1度、一から正解を見つけたい」と言った。4年後のロシアW杯に向け、どん底からはい上がるしかない。世界の頂を夢見て、成長を続けていくしかない。

 ◆TIM杯

 正式名称はテレコム・イタリア・モバイル杯。01年から始まった。試合形式は1試合45分で3チームが勝ち点で争う(勝ち3点、負け0点。引き分けの場合はPK戦勝ち2点、PK戦負け1点)。第12回まではACミラン、インテルミラノ、ユベントスが参加し、13年からインテルに代わりサッスオロが参加。ミランは今回4回目の優勝。