【ボローニャ(イタリア)波平千種通信員】アジア杯準々決勝で敗退した日本代表FW本田圭佑(28)が所属のACミランの窮状を救うため、代表戦から中3日で、27日(日本時間28日午前4時45分開始)のイタリア杯準々決勝ラツィオ戦(ホーム)に強行出場する可能性が高くなった。負ければ、インザギ監督が解任されるともいわれる瀬戸際の一戦。救世主の期待を背負って、ピッチに立つ。

 本田が早くもピッチに戻る。25日にミラノに到着。自ら望んで練習場ミラネッロでトレーニングし、同日夜に緊急合宿中のチームに合流した。26日付イタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトは「本田は明日のイタリア杯で先発することになるだろう。この試合で負ければインザギ監督は解任となる可能性が高い」と伝えた。

 アジア杯を戦う日本代表の活動のために離れてから約1カ月が経過した。その間、チームはリーグ4戦未勝利(1分け3敗)。穴を埋めるためチェルチとスソを補強したが、無残な成績で背番号10の不在が改めて浮き彫りとなった。24日のリーグ戦でラツィオに1-3と大敗し、中2日での再戦を前にチームは壊滅状態。ついにはクラブのレジェンドであるインザギ監督の去就問題にまで発展した。

 右FWのレギュラーとして起用し続けてくれた指揮官の首がかかった一戦が、復帰戦となるのも不思議な巡り合わせだ。アジア杯準々決勝で敗退したから間に合った。24日にオーストラリアを離れる時に「試合はすぐにやってくるんでね。それに仕事も残っている」と言った。仕事とはどん底のチームを救い、首の皮一枚といった苦境の指揮官も救うこと。大仕事になる。

 厳しい一戦になりそうだ。夏の南半球シドニーから冬のミラノへ。気温差は20度近く、時差も半日近い。長距離移動に加えチームそのものが違う。23日のUAE戦ではPK戦1人目で外し、日本の早期敗退の流れを作ってしまった。あれから4日。休む間も、ショックを引きずる暇もなく、本拠サンシーロのピッチで救世主の役割を求められる。

 ◆本田の強行日程

 日本代表との掛け持ちで、ハードスケジュールには慣れている?

 昨年10月には10日に新潟でジャマイカ戦、14日にシンガポールでブラジル戦を戦い15日にミラノに戻りそのまま練習場に直行。強行軍の中、19日ベローナ戦で得点を決めた。その実績があるからか、アジア杯敗退の一報をインザギ監督は“歓迎”し「本田は休みたがらない。彼のことをよく知っているから言うが(笑い)」と起用を示唆している。