<アジア大会:男子バスケットボール>◇第15日◇3日◇韓国・仁川

 男子バスケットボール日本代表「ハヤブサジャパン」が20年ぶりの銅メダルを獲得した。3位決定戦でカザフスタンに76-72で競り勝ち、94年広島大会以来の3位に食い込んだ。24歳の司令塔、PG比江島慎(アイシン)が第4クオーター(Q)に試合を決める逆転シュート。世代交代や海外遠征が実を結び、来年から始まるリオデジャネイロ五輪予選へ弾みをつけた。

 63-65の第4Q残り2分41秒、ゲームメークに徹していたPG比江島が勝負に出た。2メートルを超えるカザフスタン選手に対し、前傾姿勢でドライブを仕掛けた。ぶつかられ、横に流されながら片手でジャンプシュート。リングをくぐると同時に相手反則の笛が鳴った。バスケットカウントワンスロー。フリースローも決めて試合をひっくり返した。

 第3Q途中まで最大10点リードしたが、2メートル超が5人いる相手の重圧でシュートを外し続け、逆転されていた。「勝ちたい気持ちがプレーに出た。自分を褒めてあげたい」という比江島の勇気で嫌な流れを断ち切ると、辻、金丸の連続3点シュートで勝負あり。20年ぶりのメダルを、コートで仲間と抱き合って喜んだ。

 世代交代と強化策が実った。30代が活躍していたロンドン五輪予選前から若返りを図り、今大会は平均年齢25・8歳。日本らしい、走り勝つ平面バスケを磨いた。海外遠征も実施。6月に韓国、8月にオーストラリアへ渡り「特に、速くて高いオーストラリアとの対戦経験が生きた」とチーム最多21得点の金丸。大柄な相手にも屈しなくなった。

 来年はリオ五輪予選がある。石崎主将は「メダルはうれしいけど、色には満足できない。もっと上を目指す」。20年ぶりの表彰台を通過点にする。【木下淳】