日本陸連は9月30日、都内で理事会を開き、強化推進本部の設立を決めた。権限として強化委員会の上に置かれ、本部長を務める尾県貢専務理事(56)は「強化はその時点でのベストを尽くしてきたが、これからは多くの目、頭で作戦を考えていく」と語った。

 8月の世界選手権(北京)での銅メダル1、入賞2の惨敗を理由に、原田康弘強化委員長の引責辞任が理事会で承認された。麻場一徳副委員長の繰り上がりが決まったが、今後の組織体制は様変わりする。推進本部には瀬古利彦氏、高橋尚子氏、室伏広治の現理事のほか、外部有識者も招集。他競技の名コーチや金メダリストら数人も含め、十数人で運営する。

 16年リオデジャネイロ五輪まで1年以内での改編は、強い危機感を感じさせる。合わせて医科学情報部や、強化委内には女子部も新設する。ただし、劇的な変化を生めるかは未知数だ。

 この日はリオ五輪の報奨金の増額も承認された。金メダルならロンドンの2倍の2000万円と「大きなニンジン」をぶら下げたが、手にする選手は出てくるだろうか。

 ◆五輪の報奨金 メダルの色に応じて各競技団体、所属先、スポンサーなどから贈られる。日本陸連は今回、金2000万円、銀1000万円、銅800万円に設定。他競技ではロンドン五輪での金に対し、自転車が金3000万円、競泳が200万円など。なお、日本オリンピック委員会(JOC)の報奨金は金300万円、銀200万円、銅100万円だった。