国際陸上競技連盟は17日、ウィーンで理事会を開き、組織的なドーピングが問題となり昨年11月に資格停止としたロシア陸連への処分を継続することを決めた。複数の関係者が明らかにした。これにより、同国選手団は8月5日に開幕するリオデジャネイロ五輪の陸上に参加できない。タス通信が報じた。国際オリンピック委員会(IOC)が21日に開く会合で、潔白な選手に限って個人として出場を認める救済策を決める可能性がある。

 理事会では1月からモスクワで現地調査を重ねた調査チームが進捗(しんちょく)状況を報告。これを受けて反ドーピング態勢の改善が不十分と判断し、「大幅な組織改善が必要」とした3月の理事会に続いて処分解除を見送った。ロシア選手は引き続き陸上の国際大会に出場できない。

 ロシア陸連は、昨年11月に世界反ドーピング機関(WADA)第三者委員会の報告書で組織的なドーピングを認定され、ことし1月に会長以下の人事を刷新。同国スポーツ省も再発防止へ反ドーピング教育に着手していた。一方で2014年ソチ冬季五輪の不正疑惑が新たに浮上し、08年北京、12年ロンドン両五輪の再検査でもロシア選手からA検体で22件の陽性反応が出た。WADAが15日に公表した報告書でも深刻な検査妨害や隠蔽(いんぺい)が指摘されていた。