<陸上:東日本実業団対抗女子駅伝>◇3日◇さいたま市~熊谷スポーツ文化公園陸上競技場(6区間、42・195キロ)

 女子の第一生命が2年連続2度目の優勝を飾った。アンカー尾崎好美(30)がゴールまで残り100メートルのところで先行していた積水化学の馬場を逆転し、2時間17分21秒でゴールした。区間新記録も打ち立て、五輪出場権のかかる20日の横浜国際女子マラソンへはずみをつけた。男子は、日清食品グループが3時間44分56秒で2年ぶり5度目の王座に就いた。女子の全12チーム、男子の13位までが全日本大会(女子=12月18日・宮城、男子=来年1月1日・群馬)の出場権を獲得した。

 尾崎が33秒差をひっくり返した。タスキを受け取った時点で、積水化学とは約170メートル差。最終6区は6・3キロ。約2週間後に迫った横浜をイメージするかのように、ゴール目がけてロングスパートだ。逃げる馬場の背中を夢中で追った。競技場に入った時点でまだ100メートル差。だが、持ち前の粘りでじわりじわりと追い込み、残り100メートル地点でついにとらえた。最後は3秒差をつけ、ゴールに飛び込んだ。20分41秒の力走で区間新記録も樹立した。

 表情には充実感がみなぎる。「スピード感のあるレースができた。勝てる確信はなかったけど、見える位置だったので強い気持ちを持って走った」。目前に五輪選考レースを控える。当然、迷いはあった。それでも山下監督は「緊張感のある中でどれだけ走れるのか見たかった」とアンカー起用。特別扱いしなかった。今夏の世界選手権は金メダルを期待されながら18位。五輪を目指し、一からの出直しだ。「久しぶりにスカッとした」。尾崎が晴れやかな表情を取り戻した。【佐藤隆志】