<陸上:全日本大学駅伝>◇6日◇愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮(8区間106・8キロ)

 駒大が出雲路の雪辱を、伊勢路で果たした。エースの2区に起用されたルーキー村山謙太(1年)が混戦から抜け出すと、その後は安定したレース運びで逃げ切り。5時間15分46秒の記録で、3年ぶり9度目の優勝を飾った。出雲を制した東洋大は、アンカー柏原竜二主将(4年)が区間賞の力走で猛追したが、33秒及ばなかった。昨年の覇者・早大は序盤で出遅れ、3位に終わった。

 駒大が出雲の借りを返した。立役者は村山だった。明大の鎧坂ら各校のエースが集まる花の2区。残り3キロとなったところで飛び出した。2位に23秒差をつけ、3区・油布へタスキをつなぐ。区間3位の38分23秒。このルーキーの力走が優勝の呼び水となった。3区から3連続の区間賞でリードを広げ、最終8区で柏原の猛追を食らったが、貯金を生かして逃げ切った。

 丸刈り頭の1年生は「鎧坂さんら周囲の顔を見たら、きつそうだったので仕掛けた」。1年生ながら9月のインカレ5000メートルの王者。だが10月の出雲駅伝では、1区に抜てきされながら13位。序盤の低迷が響き、チームは2位に終わった。重圧から自滅した精神的な弱さを反省し、今回は強い気持ちで攻めの走り。自らの雪辱をかけた伊勢路で大仕事をやってのけた。

 駒大は08年11月の全日本を制したが、続く箱根で13位と惨敗。そんな苦い過去を知る大八木監督は、感涙にむせぶメンバーを脇目に胴上げを拒否。「箱根は距離も違うし、別もの」と言う。それでも手応えはつかんだ。「1年生の2人(村山、6区の中村)が使えるようになったら面白い」。4年ぶりの箱根の頂点を見据えた。【佐藤隆志】