<全国高校バスケット選抜優勝大会:札幌山の手120-59福岡大若葉>◇女子準々決勝◇26日◇東京体育館

 全国3冠へ、あと2勝だ。高校総体、千葉国体と2冠の札幌山の手(北海道)が120-59で福岡大若葉(福岡)に大勝し、2年連続4強入りした。司令塔の町田瑠唯主将(3年)を起点に、多彩な攻撃を展開。女子では今大会最多、また大会を通じても歴代6番目の高得点をマークした。チームとしても全国大会最多得点を更新。決勝進出を懸けて27日、東京成徳大高(東京)と対戦する。

 札幌山の手が、またしても、歴史に名を刻んだ。試合終了目前に、1年生の宮北琴子がゴールを決めると、スコアボードの数字が「120」に切り替わった。04年に倉敷翠松(岡山)が121得点を記録して以来、女子では4年ぶりの120点ゲーム。大会史上4校目の快挙だ。チームとしても04年高校総体の一関学院(岩手)戦でマークした116点を上回り、全国最多得点を更新。北海道勢悲願の3冠へ弾みをつけた。

 「これまでの3試合の中では一番良かった」と町田主将は振り返った。試合開始からスピーディーなパスワークで得点すれば、町田がゆっくりとボールを運んで、ゴール前の一瞬のスキを突いて味方にパス。25日の3回戦・山形商(山形)戦で8得点に終わった高田汐織(3年)がチーム2位の20得点を挙げるなど、状況を的確に判断し、抑揚をつけた攻撃を繰り広げた。

 観戦した女子日本代表・中川文一監督(63)も絶賛した。「今までの女子は、トップスピードの中で得点を狙うことが普通だった。山の手の選手たちは、トップスピードでプレーしていないし、遊びがある。今までの高校界にない、新たなバスケット」。専門家ならではの独特の表現で、常に進化してきた札幌山の手の組織的プレーを評価した。

 山形商戦で不調だった町田、高田らの3年生が、しっかりと仕事を果たした。「攻める時は攻めて、味方を生かせる時は周りを生かそうと思った」と町田はその“遊び”を強調。チーム全体を見つめ直し、原点に立ち返ったことで本来の役割を再確認した。上島正光コーチ(67)は「そろそろ(3年生が)頑張ってもらわないと」と期待した。

 大会4連覇を狙った桜花学園(愛知)がこの日、同じ準々決勝で敗退。順調なら準決勝で対戦し、ターニングポイントになる一戦だった。町田は気持ちを切り替え「向こう(東京成徳大高)は、センターでやってくるという印象。しっかりと守っていきたい」と次戦を見据えた。死角は、見当たらない。【石井克】