<全国高校バスケット選抜優勝大会:京北108-82東北学院>◇男子3回戦◇26日◇東京体育館

 東北勢が41回の歴史で史上初めてベスト8に勝ち進めなかった。初出場の東北学院(宮城)は全国高校総体3位の京北(東京)に敗戦。弘前実(青森)も岡山学芸館に敗れた。前年王者の明成(宮城)と全国58冠の能代工(秋田)など、優勝候補が軒並み初戦で姿を消す、波乱の大会となった。

 「セクシーバスケットボール」が影を潜めた。第2クオーター(Q)、京北の身長199センチC皆川徹(3年)の威圧感に、東北学院の持ち味であるドライブやモーションオフェンスが出せない。ゴール下に進入しても、ブロックされ同Qは8-28となった。

 ハーフタイムに帆足直治監督(44)が言った。「このまま終わっていいのか!

 足が壊れてもいいから走れ!」。その言葉に奮起。司令塔のPG冨永昇平(3年)を中心に、高い壁へ果敢に挑んだ。パスやドリブルで華麗に攻める“セクシーさ”でなく、がむしゃらにゴールを狙った。冨永が27得点。C阿部翔太(2年)が25得点と活躍した。

 前日、同じ宮城勢の前年王者、明成が敗れたことも影響した。「明成の分までと思ってたんですが…」と冨永。帆足監督も「選手たちにプレッシャーを与えないように、あえて話しませんでした」。打倒明成でチームづくりをしてきた東北学院にとって、ライバルの初戦敗退は予想以上にショックだった。

 東北学院中から6年間、冨永、勝然秀人、佐藤俊博(いずれも3年)はともに戦ってきた。進学校の同校では高校総体で引退する3年生も多かったが、3人は「最後まで一緒に」と残った。そしてウインターカップ初出場でベスト16。冨永は「学院の歴史を変えられたことは光栄」と胸を張った。卒業後は玉川大に進学する。現在は関東大学リーグ3部だが「自分がいるうちに2部、1部に上げたい。そして体育の教員免許を取って、学院に戻ってきたい」。歴史を変えたエースが将来、自ら歴史を塗り替える。【三須一紀】