コースが遼クンを後押しする!?

 ゴルフ日本一を決める日本オープンが15日、埼玉・武蔵CC豊岡(7083ヤード、パー72)で開幕する。例年この大会は難しいコース設定で、我慢比べが見どころだったが、ギャラリーを楽しませることを優先した今大会は、スコアが伸びるコース設定に転換。特に4つのパー5でバーディーを狙いやすくした。13日には野村惇大会競技委員長(66)自ら「一番向いているのは石川遼君ではないか」と名前を挙げた。石川は13日、プレジデンツ杯が開催された米国から帰国。14日に練習ラウンドを行う。

 大会最年少優勝を目指す石川に、異例の「お墨付き」が出た。開幕を2日後に控え、野村競技委員長が明言した。「(米国帰りで)疲れてなかったら、(今回のコースに)一番向いてるのは石川遼君」。コースセッティングを統括した責任者の言葉だけに、説得力があった。

 理由がある。例年、日本オープンは長いラフや狭いフェアウエーなど難しいコース設定で、94年に尾崎将司が大会史上最少スコアの18アンダーで優勝して以来、2ケタアンダーでの優勝はない。その「方針」を今年は転換した。「我慢比べではギャラリーは面白くない。沸いて喜んでいただきたい。優勝スコアは2ケタはいくのでは」と野村委員長は明かした。

 特に500ヤード台前半の短いホール2つを含む、4つのパー5はバーディーを取りやすいように設定したという。「イーグルも出るかも」と同委員長。今季パー5でのバーディー率1位(49%)の石川にはさらに有利になる。昨年は出すのが精いっぱいの15センチと長かったラフも、今年は9センチまで短くなった。昨年の石川は長いラフを恐れずグリーンに近づける作戦で2位。ラフから直接グリーンが狙えれば、おのずと優勝も見えてくる。過去11年間は年間飛距離20位以内の選手の優勝はなかったが、今年は攻撃ゴルフを貫いても、好結果がついてきそうだ。

 石川はこの日、世界選抜として奮闘したプレジデンツ杯から帰国。14日に練習ラウンドを行う。28年大会の浅見緑蔵の19歳9カ月7日を抜く、18歳1カ月1日での大会最年少Vへ、例年と色合いが異なるコースが、大きな後押しとなりそうだ。【阿部健吾】