地産野菜をパワーに変えて、風評被害を吹き飛ばせ!

 今季メジャー第2戦の日本ツアー選手権シティ杯宍戸が、2日から茨城・宍戸ヒルズCCで開催される。野菜など農産品が風評被害を受けている地域だが、石川遼(19=パナソニック)は5月31日のプロアマ戦の合間に、大好物の地元産「もろキュウ」でエネルギー補給。大会期間中も、キュウリや納豆など県産品を糧に元気なプレーを見せ、農業・観光両面での風評被害払拭(ふっしょく)に一役買う。

 日本ツアー選手権シティ杯宍戸のプロアマ戦。石川は前半戦を終えて立ち寄った休憩所で、すぐに「もろキュウ」を手に取り、ほおばった。キュウリのみずみずしさが疲労を忘れさせ、みその辛さが気持ちをリフレッシュさせた。

 現地入り前から「1口サイズに栽培されたキュウリとみその相性、最高です」と熱く語っていた。所属事務所のスタッフは「ここに来るたび1年分食いだめしているんじゃないかと思うくらい食べる」と証言。普段の食事やプレー中に口にするバナナ以上に、頼りになる「エネルギー源」だ。

 JA茨城中央の山口課長は「遼くんが野菜を食べて活躍してくれると、風評被害を減らす意味でありがたい」と喜んだ。茨城は福島第1原発からの放射性物質飛来を懸念され、風評被害を受けている。原発から140キロも離れた笠間市でも、野菜の売り上げが約2割減。「観光客も減ったので、土産としての売り上げも落ちた」と観光と農業の被害の連動性も指摘した。

 ゴールデンウイークの県内の観光客は126万3000人と、前年から約34万人も減少した。だが5月初旬に笠間市で行われた陶炎祭(ひまつり)には「TOKIO」の国分太一が支援に訪れたため、前年比5万人増の約38万人が来客。県内で集客が増加した唯一のイベントとなった。

 笠間市商工観光課の職員は「やはり著名人の力は大きい。NHKの全国放送があるので、被災地が安全というPRになる」とうなずく。あえてメディアの前で地産野菜を食べてみせたからには、ぶざまなプレーは見せられない。リスクを承知でPRするのも、被災地復興を心から願うからだ。

 今回は浅見緑蔵の国内メジャー最年少V記録(19歳281日)を、83年ぶりに20日更新する最後のチャンス。その意味でも注目度が上がれば、メディアを通して地域の安全性を訴える効果も向上する。石川は「震災から80日が過ぎても、被災者の方々の大変な日々は続いている。1人でも多く元気づけられる大会になれば」と話した。【塩畑大輔】