8月のリオデジャネイロ五輪で112年ぶりに復活するゴルフだが、ジカ熱流行への懸念からトッププロの間で出場に対する意見が割れている。24日、石川・朱鷺の台CCで行われたISPSハンダグローバル杯第2ラウンドを終えて首位に立ったエミリアノ・グリジョ(23=アルゼンチン)は、あらためて出場を明言。8位につけたパドレイグ・ハリントン(アイルランド)も、ロリー・マキロイ(英国)らの辞退を受けて参加する意向を示した。一方で決断を保留している選手もおり、辞退者が増える可能性は残っている。

 今季米ツアー開幕戦で初優勝を飾り、南米大陸ランク1位の新鋭グリジョは“出場派”だ。通算10アンダーでホールアウト後「自国の隣で開催されるし、4年に1度の機会。出場するつもり」と話した。昨年9月にマリア夫人と結婚したばかり。まだ子どもはいないが「ジカ熱は怖いと思っていない。自分の体調が悪ければ危ないと言われているけど、そうでなければ問題ないと思う」と強調する。

 メジャー通算3勝のハリントンはマキロイ、マクダウエルの辞退により、出場枠が回ってきた。前日23日の午後9時には自国の協会に参加の意向を伝えたという。「彼らは結婚の予定があったり、ジカ熱について心配するのは分かる」と2人の判断に理解を示し「私はもう子どもをつくる予定はない。心配はあるが、オリンピックに出る価値の方が高い。キャリアのプラスになる」と意欲的だった。

 同じく今大会に参戦している11年マスターズ覇者のシュワーツェル(南アフリカ)は、過密日程を理由とする“欠場派”。スコット(オーストラリア)らもスケジュールの問題で参加を見送るとしている。

 “保留派”もジカ熱問題を注視している。日本代表選出が確実な松山英樹は「ギリギリにならないと分からない」。当初前向きとされた世界ランク1位デー(オーストラリア)、2位スピース(米国)の発言も慎重さが増してきた。スピースは前週全米オープン開幕前、仮定の話として「重大な脅威と考えれば行かないだろう」と言及。各国代表は7月11日の世界ランクで決まるが、顔触れは依然不透明だ。【亀山泰宏】

 ◆ジカ熱 蚊が媒介するウイルス感染症。症状は発熱や発疹、目の充血などでいずれも軽く、約8割の人で症状が出ないとされる。中南米を中心に昨年から流行が拡大。新生児の小頭症のほか、感染者本人に手足のまひを伴う病気「ギラン・バレー症候群」を引き起こす可能性も指摘されている。ワクチンはなく、予防には蚊の対策が不可欠。