<女子ゴルフ:ヨネックスレディス>◇2日目◇30日◇新潟・ヨネックスCC(6371ヤード、パー72)◇賞金総額6000万円(優勝1080万円)

 新婚ほやほやの佐々木慶子(31=フリー)が、「愛のドライバー」効果で初優勝を射程圏にした。今大会ベストスコアの67で回り、通算3アンダーの141とし、初日の51位から首位に3打差3位に浮上した。今月8日に29歳のヨネックス社員と電撃結婚。今大会用に夫から贈られた同社製のドライバーが、心強い武器になっている。31日は最終日最終組で、通算6アンダーで首位に立つ北田瑠衣(26)との同期対決に臨む。

 結婚を機に張り切る佐々木が、夫が勤めるヨネックス社の冠大会で、ツアー初優勝のチャンスを手繰り寄せた。スタートの1番で7メートルを沈めて勢いに乗った。「今年は何かがかみ合わず、ずっとスコアにならなかったけど、今日は良かったです」と目尻を下げた。

 北京五輪開会式のあった8日に結婚した。「何かほっとしましたね。『これでゴルフができなくなっても、養ってもらえるかな』って。クラブのことも相談に乗ってくれるし」と、照れ笑いで打ち明けた。お相手はツアーに帯同し、選手の用具などの対応をするヨネックスのプロサービス担当者。佐々木は契約プロではなかったが、クラブのことなど相談しているうちに打ち解け、愛が芽生えたという。今大会から、夫が自分のために調整してくれた新ドライバーを使っている。精神面と弾道の安定が、好スコアに直結した。

 パッティングもさえた。先週、4年愛用してきたエースパターのシャフトを2・5 インチ (約6・4センチ)も切って、30・5インチ(約77・5センチ)にした。「私は手が長いので、アドレスの時に窮屈だった。限界まで手を伸ばして打つようにしたら」面白いようにロングパットが入りだした。

 最終日最終組で一緒に回る北田は、02年プロテスト合格の同期で、ツアー4勝の出世頭だ。北田がシード権を失った05年末には、翌年の出場権のかかった最終予選会で、佐々木が北田のキャディーを務めたこともある。待望の初優勝に向けて、舞台は整っている。「優勝願望がないわけではないんですけど、私は結果より理想の弾道を求めてしまうんです。でも、それが完ぺきにできるようになれば、いつでも勝てると思う。まあ、頑張ります」。燃える闘志を抑え、佐々木は不敵に笑った。【大石健司】