延長11回を戦った末、1-0で中日に勝った15日。試合後の監督、岡田彰布のコメントで気になったのがこれだった。近本の決勝タイムリーについてトラ番に聞かれた時、こう語っている。「後ろが打たんからのー」。この試合、近本は3番。その後ろは4番大山。この日、5打数無安打。当たりがパッタリ止まった4番に対し、岡田は圧をかけた。
佐藤輝の2軍行きばかりが注目されている中、大山の不振も相当深刻である。佐藤輝がいたから、そうは目立たなかった(いや目立っていた)けど、打率は2割1分(15日現在)にまで落ちた。
15日の試合で、こんな場面があった。0-0で迎えた9回表。先頭の中野がライト線の二塁打を放つ。ここで中日は好投の小笠原からマルティネスにスイッチした。ここまで無失点のクローザーがここで出てきたが、いきなり3番近本との勝負を避けた。申告敬遠だ。1点勝負で阪神は4番大山…。そこでちらっと頭をよぎったのが大山にバント? だった。それまでの打席、相手のストレートに差し込まれ、まったく合っていなかった。そこにマルティネスの力の速球。勝ち目は薄い。となれば、4番でもバントで走者を三塁に進めるか。なにせ1点勝負。これもあり、と思ったが、岡田はそんな選択をしなかった。
何のための4番よ。前回の監督時代、4番の金本に送りバントの指示などしたことがなかった。2004年から2008年までの5年間、阪神の4番に犠打はなかった。
大山に対しても同じだった。2023年、4番大山は犠打0。「そんなことさせる打順やない」と岡田は決めている。しかし、現状を考えれば、1点を取りにいく最良策が送りバントでは、と思ったが、やはり岡田は普通に考えていた。
マルティネスのスピードに負け、三振。走者を進めることはできなかった。さらに延長11回、近本のタイムリーで勝ち越したあと、大山の打席に注目。2-0のバッティングカウントからのど真ん中ストレート。これをミスショットしてファウルとなり、結局三振。楽な場面でも、好転することはなかった。
佐藤輝を2軍に行かせた。岡田にすれば普通の処置だが、やはり反響は大きかった。賛否両論、いろいろな声が上がっている。そんな佐藤輝が1軍にいなくなったあと、矢面に立つのが大山である。ひたむきで、謙虚で、守備でも懸命なプレーを続けてきた。チームの中、ファンの間でも、その姿勢は高く評価されているが、そもそもが4番なのだ。
岡田はそうは簡単に4番を外す(今シーズン1試合、5番を打ったが)考えはない。岡田なりの4番の定義がある。だが、上向きかけた打撃は、再び下降線をたどり、2割1分の打率にあるように、底の状態。「(近本の)後ろが打たんからのー」のつぶやきは低くて重い感じがした。昨年、全幅の信頼を寄せた4番が苦しんでいる。佐藤輝2軍、そして4番の不振。きつい材料は簡単に消えない。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




