<男子ゴルフ:ミズノオープンよみうりクラシック>◇最終日◇27日◇兵庫・よみうりCC(7230ヤード、パー72)◇賞金総額9750万円(優勝1950万円)

 ツアールーキー薗田峻輔(20=フリー)が、プロ転向5戦目で涙のツアー初優勝を飾った。荒天で54ホール競技となった最終日。首位スタートから1イーグル、5バーディー、1ボギーで66をマーク。谷口徹(42)の猛追を3打差でしのぎ、通算15アンダーで逃げ切った。杉並学院高で石川遼の2年先輩は昨年末にプロ転向。1年前に石川が優勝した大会を制し、海外初メジャーとなる全英オープン(7月15日開幕、セントアンドルーズ・オールドコース)出場権も手にした。

 薗田の視界がゆがむ。最終18番グリーンで、先輩プロ原口の姿を見て、うるうる来た。スコア提出所に向かう花道では、ギャラリーの祝福をシャワーのように浴びた。その先に石川遼が待っていた。“最強の後輩”に抱きつかれた。

 「ビックリした。もう『涙が止まんねえじゃん』って。変な声で『ありがとう』としか言えなかった」。

 1年前に石川が頂点に立ったトーナメントで、プロ1年目で初優勝できるとは、夢にも思わなかった。

 プロ5戦目の優勝に「いい決断をしたなと思えます」。杉並学院高の石川の2年先輩は昨年、プロ転向を決めた。明大に入学した08年に1年生エースとして秋季リーグ優勝に貢献、Aブロック昇格の原動力となった。しかし、悩んだ。日程調整がつかず、ツアーの推薦出場オファーを数回断った。学生ゴルファーとしてツアーに出ながら力をつける思惑が外れた。

 「かたや石川遼はすくすく育っていたわけで」。プロ転向へ。ファーストQTエントリー締め切り日が昨年6月上旬にあることを確認し、明大ゴルフ部監督、教授たちに相談の上、父俊信さん(58)に「遼もあれだけ結果を残している。僕は今、すごく体が切れている」とプロへの思いを打ち明けた。

 最終18番パー5で、大物ぶりを見せつけた。2位谷口と2打差あったが、右OBを恐れずドライバーで300ヤードのビッグドライブ。池越えの残り234ヤードを3番アイアンで2オンさせ、楽々バーディーを奪って、初Vを締めくくった。

 優勝で全英オープン出場も決めた。幼少時、米ツアー中継を見て育った20歳だ。「セントアンドルーズを攻略しなきゃいけないんですねえ…」。ゴルフの聖地へ。石川遼と同じ舞台に立つ。【加藤裕一】