<女子ゴルフ:フジサンケイレディス>◇最終日◇22日◇静岡・川奈ホテルGC富士C(6407ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

 首位と2打差の2位で出た大江香織(22=フリー)が、6バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算9アンダー207でツアー初優勝を飾った。高い精度のショットを武器に、悪天候の川奈を攻略。試合後には将来の米女子ツアー進出に加え、アニメ好きらしく「声優ゴルフ部」に名誉会員として加わるという“野望”もぶちあげた。

 心配するほど、後続は迫っていなかった。18番パー4。大江はパーパットを2メートルショートさせた。「あそこだけはしびれました」。不安げな表情を見かねた呉本キャディーから声をかけられた。「4打差あるから、全美貞さんがバーディーでも、ダボで大丈夫だよ」。われに返り、3パットのダブルボギーで優勝を決めた。

 「最後が格好悪すぎて、優勝の実感がわきません」と苦笑したが、そこまでの17ホールは圧巻だった。精度の高いアイアンショットで、パーオン失敗は6番パー3のみ。しかもこのホールはカラーから決めてバーディーだった。徐々に風雨が強まり、遅いスタートの上位選手ほどスコアを崩したが、最悪条件の最終組で6バーディーを稼いだ。

 自信を胸に秘めていた。「ショットの調子が良いので、優勝するなら今週だと思った」。イーブンパー29位だった初日終了後、すでに「今週は優勝したら、テレビのインタビューで大好きな声優のゆうきゃん(中村悠一)に公開告白します」と話していた。実際には告白しそこねたが、優勝の余波に期待する。大のアニメ好きでアキバ系を自任する大江は「これで記事にしてもらえるので、ゆうきゃんからリアクションあったらいいなあ」と目を輝かせる。ネットで「声優ゴルフ部」の存在に気づき、虎視眈々(たんたん)と参加の機会をうかがっていた。「名誉会員になれませんかね」との野望も口にした。

 小学2年当時、樋口久子プロから「あなたのスイングは素晴らしい」とお墨付きを得ていたショット技術は天性のもの。課題のグリーン周りも、同じマネジメント事務所の石川遼の指導で改善し、パットも中尺に変えて成功率が大幅アップした。夢の米女子ツアー参戦も見据え、ツアー2勝目を狙う。【塩畑大輔】