<女子ゴルフ:アクサ・レディース>◇第2日◇30日◇宮崎・UMKCC(6470ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝賞金1440万円)

 プロ入り3年目の堀奈津佳(20=サマンサタバサ)が、失格騒動を乗り越えて初優勝を狙う。堀は前半29など10バーディー、2ボギーの64で回り、通算11アンダー133で単独首位に立った。ホールアウト後、ボール拾い上げのルール解釈に間違いがあったことに気付き、自己申告。しかし事情聴取後に日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が不手際を認め、罰則なしとなった。3打差の2位に、地元優勝を狙う大山志保(35=大和ハウス工業)がつけた。

 「失格かと思った」。無罰裁定を受け、堀が放心してつぶやいた。

 この日、堀は前半9ホールで7バーディーの猛攻。後半も1つスコアを伸ばして通算11アンダーで首位に立った。「初めての優勝争いでどうなるか分からないけど、強気のゴルフを貫きます」と意欲を見せた。

 だがその直後、先輩の諸見里に呼ばれ、ボール拾い上げのルールについて確認された。第2日まではグリーン以外などでボールを拾い上げて拭くことが特別ルールで許されていた。雨や水はけの悪いホールで、ボールに泥がついて不公平が生じないように取られた処置だ。ボールは元の位置に戻さなければいけないが、堀は「昨年4月のサイバーエージェント・レディースと同じと思った」と勘違いし、6インチ以内の位置なら動かして置けると解釈してプレーした。第1日は「5、6回、拾い上げて拭いた」という。第2日は天気も良く、的確にグリーンを捉えたことから、ボールを拾い上げることはなかった。

 自分の間違いに気付いた堀は、諸見里に伴われてLPGAに申告した。最初は「失格だね」と言われ、諸見里とともに号泣。しかしその後、LPGAが「元の位置に戻すことを明示していなかった」と不手際を認め、堀の無罰を決定。江間陽子競技委員長と森本多津子ツアーディレクターが会見して「非常に混乱を招いた。責任はこちらにある」と発表した。他にも同様の選手がいるとの情報もあるが確認できず、LPGAにとっては窮余の裁定だった。

 堀は「うやむやにしたくなかった。優勝のチャンスは、この後、何回もあるかもしれない。自分のゴルフ人生を後悔したくない」と気を取り直し、練習場に直行した。仕切り直しとなる初の最終日最終組で、堂々と初優勝を狙う。【小谷野俊哉】

 ◆堀奈津佳(ほり・なつか)1992年(平4)7月6日、徳島市生まれ。10歳でゴルフを始める。藤井学園寒川高卒。11年8月プロテスト合格。昨季はステップアップツアーのエディオン杯とルートイン杯阿蘇山グランヴィリオ・レディースで優勝、792万73円で賞金ランク72位。最終予選会は35位。得意クラブは8番アイアン。159センチ、50キロ。

 ◆ハーフ29

 堀は前半9ホールで7バーディー、ノーボギーの29。9ホール(パー36)ではツアー歴代2位の記録となった。1位は11年7月スタンレーレディースで諸見里しのぶがマークした27。男子のハーフ最少スコアは28で、石川遼ら8人(9回)が記録している。