<高校総体:みちのく発>

 今大会の悔しさをバネに五輪に挑む選手がいる。バスケットボール女子の準決勝で姿を消した札幌山の手(北海道)の長岡萌映子(3年)。今年、高校生としてただ1人の日本代表に選出された。代表合宿の最中に高校総体出場のため初戦前日の7月28日に秋田入り。試合では超高校級のプレーで会場を沸かし続けた。

 大会直前までは、フル代表で厳しい練習の日々。コンディションが整わない中での出場だったが、相手の激しいマークに耐え3試合で計102点を挙げた。準決勝で大阪薫英女学院に敗退し「悔しいの一言です」と涙したが、間違いなく4強入りの原動力だった。

 代表合宿中の大会直前、同校で指揮を執る上島正光コーチ(67)に電話した。最上級生になり、日本代表入りするまでに成長できたその陰にはいつも、恩師の存在があった。長岡は大会中も「プレーで返したい」と育ててもらった感謝の思いを口にしていた。

 連覇こそ逃したが、今大会は1試合平均34得点。奮闘するその姿から思いは届いたと思う。休む間もなく2日に代表合宿に合流。ロンドン五輪予選を兼ねたアジア選手権(21日~、長崎・大村)に挑む。長岡は「新しい気持ちで臨みたい」。日本一忙しい高校生は、戦いの場を世界に移す。【石井克】