日本水泳連盟(水連)は27日、上野広治競泳委員長(56)を交代させる方針を決めた。都内で開催された役員候補者選定委員会の前に、鈴木大地会長(48)ら執行部が上野氏と会談。競泳委員長の兼任を解き、シンクロ、飛び込み、水球など全5競技を統括する強化本部長に専念することを要請した。後任は日本代表・平井伯昌ヘッドコーチの就任が有力になる。

 水連の泉正文専務理事は「20年東京五輪に向けて、より高い立場から5競技を見てほしい」と説明。後任については「上野さんが推薦してほしい。タッグを組めて強化できる人を最優先して考える」と続けた。上野氏の信頼の厚い後継者となれば、ヘッドコーチとの兼ね合いの問題はあるが、平井氏以外に見当たらない。

 当初、上野氏は水連から後任の候補者を一方的に提示されたという。だが唐突な人事案に納得できずにいると、後任を選ぶことを提案された。2カ月後に世界選手権(ロシア)、1年後にリオデジャネイロ五輪を控え、綿密な強化計画を実行している最中。そんな状況にあって、交代ありきの流れに不快感を隠せなかった。現場に動揺が広がったことも許せなかった。

 この日、上野氏は鈴木会長ら水連幹部に「選手優先」など自らの考えを伝えた。その上で「選手が動揺しない体制を執行部がつくることを信じる」と願いを込めて話した。新体制は来月28日の評議員会、理事会を経て発足する。