2020年東京五輪入りを目指すボウリングで、観客が負傷する事故が起きた。全日本ボウリング協会(JBC)が12日に千葉・幕張メッセで開催した国際大会「ワールドオープン」の試合前、仮設スタンドの床板が外れて男性2人が落下し、救急車で搬送された。幸い軽傷だったものの、注目される大会での事故に関係者は対応に追われた。五輪入りアピールのための特設レーンを設置しての大会が、思わぬアクシデントで大打撃を受けた。

 事故が起きたのは試合開始前の午前8時30分ころ。エキシビションの混合ダブルスの練習中だった。大きな音とともに9段の仮設スタンドの下から4段目の床板1枚(約1メートル×2メートル)が外れた。座っていた男性2人が、約1・5メートル落下。すぐに救急車で搬送された。

 幸い2人は腰と右腕の打撲で軽傷。病院から引き返して観戦したが、1歩間違えれば大惨事だった。8時の開場直後で、来場者は1割程度の約100人。全員が一時会場外で待機し、その間に安全を点検。観客の不安を考慮して仮設スタンドの使用をやめ、平地に席を並べて1時間45分の中断後に大会を再開させた。

 五輪採用時は、5000人以上がレーンの左右から観戦できるように体育館などに特設レーンを設置する予定。今回は「予行演習」だった。事故によってプログラムの一部も変更。五輪の「目玉」と期待する男女混合ダブルスのエキシビションは中止された。観戦しにくい席になったことやプログラムの変更などで、JBCはチケットの払い戻しも決定。吉岡英隆常務理事は「すべての責任は我々にある」と神妙に話した。

 大会後、世界ボウリング連盟のドーンバーガー会長と会見したJBC武部勤会長は「心からおわび申し上げたい」。力強く五輪入りをアピールする会見が、謝罪で始まった。負傷した2人に直接会って謝ったという武部会長は「気にしないでくださいと言われた。五輪では絶対にあってはならないし、絶対にない」と真剣な表情で話していた。

 ◆20年東京五輪追加種目 申し込みのあった26団体から、大会組織委員会が6月22日に絞り込み。最終候補として残ったのは野球・ソフトボール、空手、ボウリング、スカッシュ、スポーツクライミング、ローラースポーツ、武術、サーフィンの8団体。8月7、8日に各団体からヒアリングを行い、9月末までに国際オリンピック委員会(IOC)に追加種目として提案。野球・ソフトボールが有力と言われるが、競技数などは未定。