世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、初のマスターズ大会優勝を逃した。同1位の絶対王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に3-6、3-6のストレート負け。完敗したが、4大大会に次ぐ格付けの同大会2度目の準優勝で、今年の残る4大大会制覇に大きな期待を抱かせた。次戦は18日に開幕するバルセロナオープンで3連覇に挑む。

 目に見えないジョコビッチの圧力に、がんじがらめにされたように、錦織はミスを重ねた。「自分のやりたいプレーをさせてくれなかった。本当に崩すのは難しい」。必死でスキを探したが、穴が見つからず、対戦成績は6連敗となった。

 5本のマッチポイントを握られても、慌てたそぶりは見せなかった準々決勝のモンフィス戦とは対照的に、ジョコビッチ戦は何とかしたいと思う感情があらわになる。それが焦りにつながった。特に課題のサービスゲームが影響した。第1サーブの確率は52%で「サーブが入らず厳しかった」という。しかし、第2サーブも相手のリターンエースはない。押し込まれながらも、ラリー戦にはなった。サーブが弱点だと思いすぎたことが、迷いを生み、ショットを狂わせた。

 ジョコビッチは今年、これで28勝1敗。その1敗も体調不良での途中棄権だ。まともに戦って誰も勝てない絶対王者の圧力は、計り知れないが、この壁を乗り越えなければ、念願のマスターズ大会、4大大会制覇は届かない。18日から始まるバルセロナオープンで、赤土のシーズンが幕を開ける。ジョコビッチへの雪辱の機会はまだある。