今季初戦を迎えた日本代表が85-0で韓国代表に大勝した。昨年のW杯イングランド大会を戦った主力の多くはスーパーラグビー(SR)に参戦しており、23人中17人が初キャップ。WTB児玉健太郎(24=パナソニック)がチーム最多5トライを量産するなど、19年W杯日本大会を目指す若手のアピール合戦となった。次戦は7日にアウェーで香港と対戦する。

 圧倒した。キックオフ直後、中央やや左のスクラムで、ぐっと圧力をかける。一気に右へ展開し、WTB山下が2人をかわしてインゴールへ飛び込んだ。開始2分で先制トライ。攻勢を緩めず前半だけで7トライを奪い、試合を決めた。児玉のデビュー戦5トライは日本代表歴代5位タイの記録。「素直にうれしい。19年W杯出場が目標なので」と笑顔を見せた。

 目の色が違った。試合前のミーティング。内田主将が声を張り上げた。「2軍と言われている。フル代表という誇りを持って評価を払拭(ふっしょく)しよう」。SRに参戦中のFB五郎丸もNO8リーチもいない。昨年のW杯は直前で落選した内田の意地に、児玉も奮起した。「直接言われなくても耳には入るし、僕たちも(周囲の見方を)認識はしている」。視察したサンウルブズのハメット・ヘッドコーチ(HC)に猛アピールした。

 意識したのはエディー・ジョーンズ前日本代表HCの言葉だ。慶大時代にジョーンズ氏の指導を受けた児玉は4月3日夜、来日中の名将から食事に誘われた。パナソニックの拠点である群馬・太田市から都内に駆け付け、サンウルブズについて話す名将の言葉に耳を傾ける。「『キックが多すぎる』と聞いたので、意図があるキック以外は積極的にランで仕掛けた」。厳しいジョーンズ氏からは、同時にゲキも飛んでいた。「可能性は十分あるんだ。頑張れ」。50メートル5秒9の快足を飛ばし、大外を3度えぐってトライを決めた。

 6月にはW杯で唯一敗れたスコットランドとの再戦もある。児玉は「メンバーに選ばれるようにアピールしたい」と力強く話した。主力不在で得たチャンスを生かし、新たなトライゲッターに成長する。【岡崎悠利】

 ◆アジア選手権 アジア22カ国が5つのグループに分かれて順位を争う。15年から方式が変わり、日本は最上位グループ「トップ3」で、韓国、香港とホームアンドアウェーで計4試合を行う。勝ち点(勝ち5、引き分け3、負け0)とボーナスポイント(4トライ以上での勝利か7点差以内の敗戦でそれぞれ1)の合計で優勝を争う。前回大会はエディー・ジャパンが3勝1分け(アウェー香港戦は雷雨による試合中止のため引き分け扱い)で優勝。2位香港、3位韓国だった。