卓球のリオデジャネイロ五輪男子日本代表で世界ランキング6位の水谷隼(27=ビーコン・ラボ)が、昨季の欧州チャンピオンズリーグ王者オレンブルク(ロシア)に移籍することが決まった。12-13シーズンから同じロシアのUMMCに所属してきたが、20年の東京五輪まで見据え、欧州最強チームでレベルアップを図る。その水谷は21日、ロシアリーグのプレーオフ(21~26日)出場のため、成田空港から出発した。

 日本のエース水谷が新たなステップを踏む。欧州チャンピオンズリーグで4年連続決勝に進出し、3度の優勝を誇るオレンブルク移籍に「来季からは、さらにレベルの高いチームで練習、試合を積むことができます」。世界ランク5位のオフチャロフ(ドイツ)、同9位のサムソノフ(ベラルーシ)ら、リオ五輪でもメダル獲得のライバル選手が所属。ロシア国内では群を抜く強豪で切磋琢磨(せっさたくま)できる環境を得た。7月からの契約で、五輪後にチームに合流。9月にリーグが開幕する。

 リオでは、日本男子卓球界初の五輪メダル獲得に期待が高まる。ワールドツアーのスロベニア、オーストラリアオープンで2週連続優勝するなど好調。20日に閉幕した荻村杯ジャパンオープン8強で、本番でのシングルス第4シード以内も当確した。団体戦のランキングポイントも引き上げ、22日開幕の韓国オープンは丹羽、吉村に託し、ロシアリーグのプレーオフに参戦する。新加入するオレンブルクとの対戦を前に「今のチームでの最後の試合。感謝の意味も込めた大事な試合」。オフチャロフらとの対戦は五輪前哨戦となる。

 04年からドイツ、08年からは中国で過ごし、12年ロンドン五輪以降はロシアで心身ともに成長してきた。「リオでは個人も団体もメダルを狙えるレベルにある。まだまだ成長はできると思う」と力強い。新天地は欧州各国の強豪との対戦機会も増え、強化につながる場となる。【鎌田直秀】

 ◆水谷隼(みずたに・じゅん)1989年(平元)6月9日、静岡県磐田市生まれ。5歳から父信雄さんが代表を務める豊田町スポーツ少年団で競技を始め、青森山田中-青森山田高-明大。07年全日本選手権シングルスを17歳7カ月で史上最年少制覇。08年北京五輪から3大会連続出場。全日本選手権シングルスは史上最多タイの8度優勝。172センチ、63キロ。