真央がトリプルアクセルを解禁する。フィギュアスケート女子の浅田真央(26=中京大)が22日、世界選手権(来年3月29日開幕、ヘルシンキ)などの選考を兼ねたフィギュアスケート全日本選手権の公式練習に登場。今季初めて試合前の練習でトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んだ。左膝故障の影響で回避してきたが、明日24日のショートプログラム(SP)までに練習で成功すれば、4月世界選手権以来となる試合でのトリプルアクセルに挑む予定だ。

 その挑戦が浅田の調子を示していた。30分間の公式練習。15分がたち、体が温まってきた頃、1本目のトリプルアクセルを跳んだ。回転が足らず着氷が乱れたが、これが今季、試合前の公式練習で初めて見せたトリプルアクセル。2、3本目も乱れ、4本目は転倒。それでも練習後の表情は晴れやかだった。「跳ぼうかな、と思って練習はしてきている。明日、明後日と練習し、1回でも跳べたら入れていきたい」。ついに「封印」を解き、今季初めて試合で挑む考えを示した。

 浅田の1つの武器といえるトリプルアクセルは、左膝に力を込めて踏み切るジャンプ。だが、昨季故障した左膝をかばうため練習を積めず、今季は初戦からトリプルアクセルを回避。2回転半や、3回転-2回転の連続技など難度の低いジャンプで演技してきた。「自分ができる最高のものではない」と説明したが、練習できないから、自信を持って跳べない。悪循環が続き、ジャンプミスの連続で9位だった11月のグランプリ(GP)シリーズ・フランス杯では「自信がすべて失われた」と涙を流した。

 それから1カ月。1週間休んだ後、練習に臨むと自然と調子が上向きになってきたという。「今すごくいい状態」と自信を取り戻した。「心が折れたりもした」と笑えるのも余裕が出てきた証拠だ。来季の平昌五輪が最大目標だが、その思いは今は封印する。「自分が好きで戻ってきたスケート。今は全日本だけに集中して、SP、フリーでノーミスしたい」。やっと見えてきた自分の演技を今季4戦目にぶつけるだけだ。【高場泉穂】

 ◆トリプルアクセル 3回転半ジャンプのこと。アクセルは6種類のジャンプの中で唯一前を向いて跳ぶ。半回転多いため、単発での基礎点も3回転の中では8・50点と最も高い。女子でのISU(国際スケート連盟)公認大会での成功者は浅田含め7人。日本では他に伊藤みどり、中野友加里、紀平梨花がいる。

<浅田とトリプルアクセル>

 ◆習得 02年夏、12歳で日本連盟主催の野辺山合宿で初めて成功。

 ◆GPファイナル初出場初制覇 05年12月、15歳でGPファイナルに初出場。SP、フリーともに成功させ、当時の世界女王スルツカヤを破り初優勝。06年トリノ五輪は年齢制限のため出場できず、日本連盟に問い合わせの電話が殺到。

 ◆ギネス 10年バンクーバー五輪のSPで1本、フリーで2本。女子で初めて1試合で3本トリプルアクセルを成功とギネス登録された。

 ◆最高 ソチ五輪後の14年世界選手権SPで、GOE(出来栄え点)自身最高の1・86を獲得。当時歴代最高の78・66点をマーク。