【メルボルン(オーストラリア)15日=吉松忠弘】テニスの4大大会第1戦の全豪オープンは今日16日に開幕。世界5位の錦織圭(27=日清食品)は午前11時(日本時間同9時)からの1回戦で、同45位のクズネツォフ(ロシア)と対戦する。この日は同82位のハリソン(米国)と、試合前日としては珍しい約1時間半の実戦形式の練習を行い、急ピッチで本番に備えた。

 試合と同じ形式の練習が始まると、錦織のフォアがうなった。仮想クズネツォフのハリソンを圧倒する。持ち球は少し違うが、両者ともにストローカーで、カウンターが武器。その相手にフォアをねじ込んだ。「気をつけることがたくさんある」と警戒する1回戦の相手を想定していた。

 試合前日に、実戦形式の練習をあえて取り入れたのは、8日に痛めた左臀部(でんぶ)の影響で、全豪に向けた練習再開が少し遅れたからだろう。ただ、練習内容は充実していた。13日に試合形式の練習を始めてから3日目。動きは問題なく、強打を繰り出した。

 オフシーズンに理学療法士のロバート・オオハシ氏と行ったトレーニングの成果もある。ハンマー投げの室伏広治らも指導したオオハシ氏は「昨年と比べ、体をひねるパワーは間違いなく強くなった」と、錦織の進化を口にした。速い回転速度を必要とする室伏の強靱(きょうじん)な体幹を作り上げた腕で、錦織の体幹を鍛え上げた。その結果、ストロークのパワーが増したという。

 ケガをしない体作りには「左右のバランスが大事」と指摘した。両サイドを均等に鍛えることで、体への負荷も支えられるという。左臀部の不安は消え、体幹は安定している。新たな錦織が、1回戦でストロークをたたき込む。

 ◆WOWOW放送予定 16日午前8時半~、WOWOWプライム。午後4時45分~、WOWOWライブ。男女シングルス1回戦。無料放送。生中継。放送時間変更の場合あり。