日本人初の2連覇を目指す本田真凜(15=大阪・関大中)が女子SPで、自己新の68・35点をマークし2位発進した。大会前に米国へ渡り特訓したステップで最高評価のレベル4を得た。昨年と同じSP2位スタートに吉兆を予感した。フリーは今日18日に行われる。
真凜にジャンプ成功の余韻はなかった。「ステップが来る…。ステップが来る…」。冒頭のフリップ-トーループの連続3回転を決めても、頭はステップ。「スマイル」の歌詞の意味を初めて理解し、大会前の渡米時に取り組んだ肝だった。「スケートを始めて一番っていうぐらい、緊張がなくて、楽しめた」。冷静に歌詞を耳から取り込み、大きな上半身の動き、観衆へ訴えかける表情で安らぎを発信した。演技後に喜びで振り上げた両拳が、満足な仕上がりを意味していた。
ステップは今季初のレベル4の最高評価。そこにノーミスの安定感で得点を伸ばした。前日16日。浜田コーチの言葉でスーッと力が抜けた。「1人でも『真凜のスケートが好き』っていう人がいるとしたら、その人に向けて楽しく笑顔で滑ったらいいよ」。初出場だった昨年は「優勝できるなんて思っていなかった」。今季は1年間、世界ジュニア女王の重圧と闘ってきた。「『今年は今年』で試合に臨もう」と吹っ切れた。
周囲に親しまれる「真凜」の名には、いくつかの思いが込められている。母親の名前から「真」の1字を取り、誕生時には画数などを踏まえて片手程度の候補に絞られた。決め手は「凜(りん)とした女性になって欲しい」という願いと「世界中の人が呼びやすい」響きだった。真凜は「MARIN」と「JAPAN」を組み合わせたサインを作り、いつも差し出される色紙へしたためる。お気に入りの名前は今、1人、1人とファンを増やしつつ、世界の舞台で叫ばれている。
首位をいくロシアのザギトワとの差は、わずかに2・23点。「去年も(SP)2位発進。1位っていうプレッシャーがないので、追いつく気持ちしかない。運を信じて、演技したい」。自己最高の「スマイル」で手にかけた今季の大目標。そこへは、幸運を感じさせる道が開けている。【松本航】
◆スマイル 36年に喜劇王チャールズ・チャプリンが映画「モダン・タイムス」で使用するために作曲。54年にジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞を加えた。冒頭部分は「笑ってごらん、心を痛めていても。笑ってごらん、心が折れてしまっていても」などと訳される。曲調は男性の優しい声に合わせて柔らかく、挫折を味わう相手に、笑うことで未来が開けることを訴えている。


