世界ランキング2位の日本が同1位のライバル米国に延長10回の末6-7とサヨナラ負けを喫し、2大会ぶりの優勝を逃した。

 08年北京オリンピック(五輪)金メダルのエース上野由岐子投手(36=ビックカメラ高崎)が、完封したカナダとの3位決定戦から中3時間半で先発。準決勝に続いて延長にもつれた激闘は、藤田倭(27=太陽誘電)の2点本塁打でリードして迎えた10回裏に上野がつかまり、接戦を落とした。米国は2大会連続11度目の優勝を飾り、20年東京オリンピックの出場権を獲得した。

 上野が天を仰いだ。延長10回裏、2点リードを追いつかれ、2死二、三塁のピンチ。この日の249球目で三塁線を破る適時打を許し、3時間を超える激闘に競り負けた。マウンドを降り、宇津木監督に2度肩をたたかれるも、深呼吸するのがやっと。粘投が実らず、最後に力尽きたエースは「連投の疲れは理由にならない。信頼されてマウンドに立たせてもらっている。期待に応えられなかった」と悔しさをにじませた。

 優勝は逃したが、チームのテーマである「脱・上野」は世界の舞台で収穫として表れた。昨季の日本リーグで投手部門のタイトルを独占した絶対エースも、20年東京五輪時には38歳とあり、チームの底上げは急務。その中で、準決勝で米国を相手に投げ抜いた「二刀流」藤田が、打者としてこの日2本塁打を放つなど、若手も精神的な成長を見せつけた。今大会のメンバーで北京五輪を経験したのは上野、山田の2人のみ。宇津木監督も「20年に金を取ることが最大の目的」と信じる道は揺るがない。

 ベストメンバーをそろえた米国との激闘は、2年後に向けて大きな財産となる。「若い選手がたくさん点取ってくれたしこれがチーム力。この悔しさは五輪でリベンジする」と上野。背中で引っ張るエースを、後輩が追い、日本はさらに強くなる。【奥山将志】