戦後の混乱期に水泳選手として活躍して「フジヤマのトビウオ」と呼ばれ、8月2日に死去した古橋広之進さんのお別れの会が14日、東京都港区の青山葬儀所で開かれた。日本オリンピック委員会(JOC)や日本水泳連盟会長を務めた故人をしのび、競泳の北島康介(日本コカ・コーラ)や、かつて古橋さんの好敵手だった橋爪四郎さんらが弔辞を述べた。

 アテネ、北京両五輪の男子平泳ぎで2冠を果たした北島は「古橋先生が水泳に注いできた情熱を僕たち後輩がしっかりと受け継ぐことを約束します」と話した。古橋さんに誘われて競技を始めたという橋爪さんは「ヒロさん」と呼び掛けて「誰にもできない選手生活を送れた。誇りに思います」と感謝した。

 プロ野球、ソフトバンクの王貞治会長は参列後に「戦後の大活躍に勇気づけられた。心の中で大きな存在だった」と、故人の泳ぎをたたえた。

 世界水泳選手権を開催中のローマで客死した古橋さんは、国際水泳連盟をはじめ内外のスポーツ団体の要職に就いた。日本体育協会、JOC、日本水連が合同で開いた会には、国際水連のマルクレスク事務局長や男子背泳ぎの入江陵介(近大)ら水泳関係者のほか、多くのスポーツ関係者や一般弔問者ら約2000人が参列した。