スポーツの歴史で貴重な所蔵品を展示している秩父宮記念スポーツ博物館(東京都新宿区)が15日、1896年にアテネで開催された第1回近代五輪の「優勝メダル」を紛失し、警視庁四谷署に盗難届を提出したと発表した。メダルは1964年東京五輪金メダリストの故遠藤幸雄さんが同博物館に寄贈していた。

 博物館を管理する日本スポーツ振興センターによると、このメダルは第1回五輪の体操の鉄棒で優勝した故ヘルマン・ワインガルトナー氏(ドイツ)が獲得した。当時の優勝メダルは金でなく銀製で、日本びいきだった同氏の子息が東京五輪の体操で最も優れた成績を残した選手に贈ることを西ドイツ紙の特派員に依頼。東京五輪で日本人初の体操個人総合金メダルを獲得した遠藤さんの手に渡り、日本オリンピック委員会(JOC)を通して博物館で保管されていた。

 JOC事務局は「貴重なメダルなので、一刻も早く戻ってくることを願いたい」としている。