<テニス:AIGジャパン・オープン>◇2日目◇9月30日◇東京有明テニスの森公園

 日本テニス界の新星、世界84位の錦織圭(18=ソニー)が、昨年10月プロ転向後、国内初勝利を飾った。同100位のロバート・ケンドリック(28=米国)を、7-6、6-7、6-2とフルセットの末に下した。サーブ巧者を相手に、粘りのテニスで成長ぶりを披露。18歳9カ月での勝利は、本大会では01年近藤大生の18歳10カ月を1カ月更新し、日本男子最年少勝利となった。1日の2回戦では同60位のガルシアロペス(25)と対戦する。

 本当に勝ちたかった。そして見守る誰もが勝利を期待した。8月の全米で世界4位を破って日本男子71年ぶりの16強に入った錦織の凱旋(がいせん)試合だ。その重圧を振り切り、錦織は1年の成長を勝利という形で証明した。「素直にうれしい。そしてホッとしている」。勝利の瞬間、緊張から解き放たれたように天を仰いだ。

 錦織見たさに、大会2日目としては過去最高の6818人の観衆が押し寄せた。フェデラーの初来日となった06年を947人上回った。「負けることばかり想像した。やりたくないと感じた」。昨年も、食事がのどを通らないほど緊張した。しかし、この日はコートに入れば「プレーをしていて楽しかった」と度胸の良さを見せた。

 相手のケンドリックは、時速200キロレベルの爆弾サーブの持ち主だ。06年ウィンブルドン2回戦では、32本のエースを放ち、ナダル相手に勝利目前まで迫った。この日も錦織の11本を上回る18本のエースを決めた。特に会場の有明コロシアムは、世界でも有数の超高速コート。「相手のサーブがいいと、どうしようもなかった」と、錦織はてこずった。

 最初の2セットは、緊迫感に満ちていた。2人ともにサーブを1度も落とさない。第1セットは、錦織が後のサーブで追いかける厳しい展開。昨年なら焦り、ミスを連発しがちな場面。そこを我慢し、タイブレークに持ち込み、1セット先取した。粘りのプレーに成長をうかがわせた。

 第2セットのタイブレークは勝ちを意識して守りに入り落とした。流れは相手に傾き、最終セットの滑り出しも「サーブを破れなくて少しイライラしていた」と、引きずった。そこから見事に息を吹き返した。第5ゲームに武器のフォアの豪打を3発。この試合、初めて相手のサーブを破り、最後には「エア・ケイ」も飛び出した。

 今大会から、日清食品と約2年間の大型スポンサー契約をした。関係者によると、他企業からのオファーも殺到している。錦織フィーバー一色の重圧の中、耐えてつかんだ勝利は価値が大きい。チーム錦織のハラミロ筆頭コーチも「よく我慢した。とても集中していた」と絶賛した。天才少年に忍耐という大人のプレーが加わった。【吉松忠弘】