<スピードスケート:全日本距離別選手権>◇2日目◇25日◇長野・エムウエーブ◇男女500メートルほか
34歳の清水宏保(コジマ)が、シーズン初戦で復活ののろしを上げた。得意の500メートルで2回合計1分10秒98の好タイムで4位に入った。優勝した長島、2位加藤の代表内定2人を除く上位2人という規定をクリアし、W杯前半戦の代表入りが内定。2回目には35秒37で全体2位の好タイムもマークした。昨季前半戦は15年ぶりの代表落ちという屈辱を味わったが、10年バンクーバー五輪でのスピードスケート史上初の5大会連続出場へ期待が膨らんだ。
スケート人生を象徴する滑りだった。2本目の500メートル。清水はロケットスタートに失敗した。かつて9秒5台だった100メートルの通過タイムは9秒77。同走の小原に0秒09の後れを取った。1回目は4位。同7位の小原に負ければ、2年連続の代表落ちが濃厚。だが巧みなコーナリングで巻き返し、バックストレートで加速。最終コーナーで逆転し、最後は35秒37でゴールした。絶体絶命の状況からはい上がる姿は、清水の生き方そのものだった。
「残りの(W杯)代表枠が2つか良くて3つ。もしも5番手だったら、年齢的に外されそうだったからよかった」。かつての世界一は国内4位でも笑顔を見せた。それでも決して低い水準に目標を設定しているわけではない。「まだ肉体は8割の状態。例年スロースターターなので、100メートルを9秒5でいける体にはなると思う」と、全盛期の自分に戻せる確信があった。
昨年6月、6年間痛めていた腰を手術した。自宅の居間からトイレへの移動もままならず、踏み切った。その決断がよかった。本格的な練習再開は今年6月。「以前は7、8割の力でしかできなかった練習が9~10割出し切れる」。衰えた筋力も戻り始めている。
今夏の北京五輪で勇気ももらった。36歳の陸上朝原が400メートルリレーで銅メダル獲得。今大会直前に「30代の選手に注目している。朝原さんは格好いい。ああいうラストランができればいい」と、バンクーバー五輪を思い描いたように話していた。金、銀、銅すべてのメダルを持つ五輪男は、5度目の五輪でもうひと花咲かせることしか考えていない。【高田文太】


