Qちゃん復活のために用意された新開発シューズも幻と消えた。98年のアジア大会時から10年以上、シューズを手掛けてきたアシックス社の三村仁司氏(60)の携帯電話に、この日午前8時、高橋からメールが届いた。「もう思ったような走りができません。今まで助けていただいてありがとうございました」。数週間前に本番用シューズの試作品を米ボルダーの合宿先へ送ったばかり。「びっくりした」と目を疑った。
“次回作”は白地に入れた黄色のライン部分が立体的に浮き上がって見える「3D加工」が施されていた。世界初公開となる新技術には「誰もやったことのないことをしたい」という高橋の信念が込められていた。来年3月に定年を迎える三村氏は「ピークを越えたのは感じていたが、いつも限界以上に走れる子。絶好調で走れる靴を用意していた。最後に3レース走らせてあげたかった」と寂しさをにじませていた。



