<男子テニス:SAPオープン>◇12日(日本時間13日)◇シングルス2回戦◇米カリフォルニア州サンノゼ

 日本男子のエース、世界56位の錦織圭(19=ソニー)が正念場を迎えた。2回戦で、昨年の全米4回戦で敗れた同7位のフアンマルティン・デルポトロ(20=アルゼンチン)に2-6、2-6のストレートで敗退。日本時間16日にも発表される最新の世界ランクでは、順位が90位前後まで急降下する見通しだ。4大大会本戦からの出場は可能だが、出場者数が少ないツアー大会は予選からの戦いを余儀なくされそうだ。

 錦織が恐れていた日がやってきた。現在、錦織が持っている世界ランクの総得点は1281点。そこから、昨年2月のデルレービーチ国際で初優勝し、獲得した360点がまもなく、なくなる。今大会で少しでも上位に食い込み、落ち幅を少なくしたかった。しかし、2回戦で敗れ「勝つイメージがわかない」とうなだれた。

 試合中には思うようにプレーができず、イライラして珍しくボールを観客席に打ち込む場面も見られた。「今は負けてくると、ずだーっと試合が終わってしまう」。昨年の全米の時と同じように、デルポトロの強打に一方的にやられた。

 日本男子16年ぶりのツアー優勝を飾ってからちょうど1年。錦織は、優勝した時から「来年に点がなくなってしまうことばかり考える」と心配していた。世界ランクを決める得点の有効期限が52週間で、1年後の同じ時期に失効する。仮に今大会で優勝したとしても世界ランクは落ちていたが、一気に90位前後まで急降下することが確実になった。

 しかし、90位前後ならば、4大大会には本戦から出場できる。最低限のところで踏みとどまれるのはツアー初優勝後も、全米4回戦など、好成績を積み重ねた結果だ。錦織は「今年はランクを気にせずやりたい」と、ようやく優勝の呪縛(じゅばく)から逃れ、新たな気持ちで再出発に挑む。