<県高校ラグビー新人戦:静岡聖光学院27-10東海大翔洋>◇15日◇静岡・草薙球技場◇決勝、3位決定戦

 静岡聖光学院が、27-10で東海大翔洋を下し、悲願の初優勝を成し遂げた。前半11分にCTB佐藤陽介主将(2年)のトライで先制すると、SO宗像仁(1年)の冷静なキックなどで着々と加点して快勝。85年の県総体(○9-0東海大一)以来、13連敗中だった「県大会決勝」で、実に24年ぶりに頂点を極めた。翔洋はNO8川田昂平(2年)の2トライも実らず、昨年の新人戦準決勝(●7-21静岡)以来、県勢相手では3大会15試合ぶりに敗れた。

 ついに勝った。聖光学院が、ほぼ四半世紀にも及ぶ負けっ放しの歴史を書き換えた。常勝軍団の翔洋をねじ伏せてのノーサイド。その瞬間、誰もが抱き合い、号泣した。「こんなにうまく勝てるなんて…。ずっと苦労してきた歴代の先輩たちの悔しさを、僕たちが晴らせました」。先制とダメ押しの2トライを決めた佐藤主将の声が震えた。挑戦者であり続けたからこそ、代々伝わってきた「成し遂げる」という部訓が現実となった。

 完ぺきな勝利だった。序盤は敵陣で反則を得ても、PGは狙わなかった。11分にスクラムから左に展開、佐藤主将が鮮やかなステップでゴールに飛び込み、勢いに乗った。中盤以降は一転して、手堅い試合運び。前半終了間際と後半4分には、しっかりPGを選択。SO宗像が、楽々と決めて加点。その後も自慢の「七色のキック」で相手の焦りとミスを誘った。「今日は翔洋の両ウイングが上がっていたので、その奥に(高速回転の)スクリューキックを入れてみました」と宗像が笑顔で解説した。

 就任丸2年でチームを頂点に導いた星野明宏監督(35)の目にも、涙がにじんだ。「この子たちは優等生じゃない。でも、将来社会に出てから、きっとさまざまな方面で活躍してくれるようなエネルギーを持っている」。星野監督は試合後の胴上げを「全国大会に出るまでは」と固辞。代わりに西山皓一朗前主将(3年)が、泣きながら宙を舞った。みんなが支え合い、助け合って栄冠をつかんだ。静岡聖光学院の時代が、幕を開けた。【大石健司】