<スキー:世界ノルディック>◇3日目◇20日◇チェコ・リベレツ
女子距離複合(15キロ)で石田正子(28=JR北海道)が、42分51秒4で14位に食い込んだ。序盤に転倒するアクシデントで出遅れたが、驚異的な追い上げで五輪、世界選手権を通じて同種目日本人最高位をマーク。8位に入った19日の10キロクラシカルに続いて健闘した。
驚異的な追走だった。石田は得意の前半クラシカルの1周目でアクシデントに襲われた。下りでレーンの溝にスキーが引っかかり転倒。順位は30位まで落ちた。そこから得意の粘り腰を発揮。トップ5人には離されたが、徐々に順位を上げ2番手集団に追いついた。3周目に入りゴムまりのような独特の走法で抜きにかかると10位で折り返した。
苦手にする後半フリーでの粘りが成長の証だ。昨季までなら「10番は落ちていた」(石田)が、今大会は違った。集団でじっと我慢を続け、大きく順位を下げることなく、14位でゴール。19日の10キロクラシカルで中長距離では日本人女子初の1ケタとなる8位がまぐれではないことを証明した。同種目では07年札幌大会の横山寿美子の23位、五輪でも94年リレハンメル大会の青木富美子の16位を上回った。距離の佐藤志郎部長は「スプリントに続いてディスタンスで石田という名前が出てきたのは頼もしい」と評価した。
世界トップ10は近づいたが、逆に課題も見つかった。上位5人からは1分以上の差をつけられているのが現状だ。石田は「フリーの滑りは昨季までとは全然、違う。強化してクラシカルにつながればもっと上に行ける」。進化の先に10年バンクーバー五輪での上位進出がある。