【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)29日(日本時間30日)=高田文太】フィギュアスケート日本代表の浅田真央(18=中京大中京高)が、精神面から鍛え直す。世界選手権での4位惨敗から一夜明けたこの日、エキシビションに参加。4月1日から入学する中京大で、男子ハンマー投げ五輪2大会連続メダルのOB室伏広治(34)から、金メダリストの精神力を学びたい意向を示した。またスポーツ心理学の授業にも興味津々。来年のバンクーバー五輪に向けて、重圧に負けないハートづくりから着手する。

 エキシビション前に会見した浅田の口から、意外な名前が飛び出した。女子大生の仲間入りを目前に、キャンパスライフについて問われると「中京大には室伏さんもいるのでお話を聞きたい。また違った自分を見つけられると思う」。対面を希望したのは、華やかな銀盤の世界とは正反対のイメージともいえる世界一の怪力・室伏だった。

 今回の世界選手権は、連覇の重圧がかかる中で臨んだ。ジャンプでミスを重ね、最大のライバル金妍児(18=韓国)に、約20点もの大差をつけられ、05年のシニア転向後初めて表彰台を逃した。重圧のないこの日のエキシビションは、試合中には見せなかった笑顔を振りまき、軽快に舞った。これまで本格的に着手していなかったメンタル強化の必要性は明白だった。

 最大の目標とする五輪制覇へ、金メダリストのメンタルを学びたいと思うのは自然な流れだ。しかも浅田が普段練習する愛知・豊田市の中京大キャンパスは、室伏の練習拠点でもある。男子代表の小塚は偶然会って、国際大会への臨み方などをアドバイスをもらったという。今後はリンク近くに疲労回復を促進する高圧酸素カプセルを設置予定で、そこで対面する可能性もある。博士号を持つ室伏は「回転競技」として、ハンマー投げとフィギュアスケートを同類ととらえる独自の視点を持っており、的確な助言をもらえるはずだ。

 さらに関係者は「スポーツ心理学の授業に興味を持っている」と明かした。アテネ、北京五輪で2大会連続メダルに輝いた競泳の中村礼子も、日体大の卒論テーマにスポーツ心理学を選んで実績に結びつけた。浅田は「自分の中で課題はたくさんある。ジャンプだけではなく違った部分も」と力を込める。もちろん技術面の課題はあるが、まずは大学でメンタル強化から着手し、再起の1歩を踏み出すつもりだ。