<スキー・ジャンプ:宮の森サマージャンプ大会>◇18日◇札幌市・宮の森ジャンプ場(HS100メートル、K点90メートル)

 船木和喜(34=フィット)が成年組で9年ぶりに優勝し、10年バンクーバー五輪出場へ希望の光をともした。昨季のW杯組がそろう中、1回目で97・5メートル、2回目で最長不倒の99・5メートルをマークし、合計266・0点で00年大会以来、4度目の優勝を飾った。98年長野五輪金メダリストも06年トリノ五輪は落選。長く低迷が続いていたが、2大会ぶり3度目の五輪へ、どん底から巻き返す。

 船木は着地すると、高々と右拳を突き上げた。1回目2位から臨んだ2回目は99・5メートルの最長不倒。「世界一美しい」とうたわれた飛型も健在だ。先週の朝日大会で優勝したが、今大会は岡部、葛西ら昨季のW杯転戦組も勢ぞろいしていた。「昨季のW杯で優勝した選手(岡部、湯本)も2人いた中で、(W杯組に)近づいていることは確認できた」と振り返った。

 98年長野五輪で栄光を極めたが、その後、長い低迷期に突入。だが情熱は失わなかった。原動力は「こういう時期に支えてくれたスポンサーに恩返しがしたい」という思い。プロ活動展開のため、99年に自ら設立したフィット社には、浮沈に関係なく支援があった。陸上女子短距離の日本記録保持者、福島千里も所属する北海道ハイテクからは、専属のトレーニングチームのサポートを受けている。

 2年前から、ジャンプの際に外側に開いていた板を地面と平行に保つように意識。浮力を得るため、長年のクセを修正した。今でもシーズン始動時には原点の荒井山(宮の森内のジュニア用ジャンプ場)に立ち、小学生と順番待ちして飛んでいる。小さな技術改良、努力が再浮上へとつながった。

 五輪への道のりは険しい。他の候補選手は冬に向けて調整しているが、船木は夏場に成績を残さなければいけない。全日本スキー連盟の斎藤ジャンプ部長は「このまま行けば昨季(W杯を)回った6人プラス船木が五輪の候補。だが去年の岡部のように1つ1つ目の前の試合を乗り越えないと」と評した。「僕もまだジャンプを飛んでいるところをみんなに見てもらいたい」。船木の目は輝いていた。【広重竜太郎】